サッカー日本代表は最強&ベストメンバーなのに人気低下? ワールドカップ予選に残席あり (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 まもなく38歳になる長友佑都の招集にも疑問を覚える。所属のFC東京で思いきり活躍しているわけでもない。出場時間は半分程度。左右両SBでプレーするが、1番手の選手は他にいる。今年3月の北朝鮮戦以来、これで4試合連続の招集となるが、過去2試合はいずれもベンチ外だ。振る舞いを見ていると、コーチかと錯覚するほどだった。

 その1枠をなぜパリオリンピックを戦った今が旬のU-23日本代表のメンバーに渡せないのか。舞台は埼玉スタジアムだ。長友ではなく浦和レッズの左SB大畑歩夢を加えたほうが、何倍も話題になるはずだ。

 森保ジャパンは、集団として面白そうに見えないのだ。史上最強なのに、ワクワクしない。だから客席は満員にならない。

 もちろん、アジア枠が8.5に大幅増となったこともあるだろう。日本が所属するグループCが「死の組」と言っても、そこで4位になっても、まだチャンスは十分にある。そんな緩い設定も関心が高まらない理由かもしれない。この設定が続き、日本が他国との相対評価のなかでも史上最強を維持すれば、観客数はさらに伸び悩むだろう。

 問われるのはサッカー競技の普及発展に貢献する、面白いサッカーの追求だ。楽しげなムードをどれほど演出できるか、だ。その努力がまったくなされていないのがいまの森保ジャパン。観客の不入りはカタールW杯の成功体験が裏目に出た結果である。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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