サッカー日本代表は最強&ベストメンバーなのに人気低下? ワールドカップ予選に残席あり (2ページ目)
【「サッカーの話」が見出しにならない】
一時期に比べて大きく後退しているテレビの視聴率は、視聴方法が変わってきたことを踏まえると、あまり参考にならないだろう。だが、チケットの売れ行きは別だ。世間の関心を推し量るうえで最もわかりやすい物差しになる。
冨安健洋、伊藤洋輝を故障で欠くからだとは思わない。三笘薫、久保建英を筆頭とするその他の欧州組は、ほぼ全員メンバーに加えられている。「毎回、何人かは入れ替えるべし」「テストと勝利をクルマの両輪のように追求すべし」とは、筆者が口酸っぱく述べていることだが、森保一監督は毎度、お構いなしと言わんばかりに、可能な限りベストメンバーを招集する。スター軍団度を高めたオールスターキャストを編成するが、すべてのファンがそれに呼応しているわけではまったくない。そこにスタジアムに足を運ぶ価値を見出せない、打っても響かないファンが多く存在する。
その理由は何か。内なる要因を挙げるなら、監督がサービス精神を持ち合わせていないことだ。何より観戦に来てもらおうと宣伝する姿勢に欠ける。自らのチームの魅力について、監督が自らアピールしようとしない。今回、会見の席で積極的に語ったのは中国脅威論だった。新監督のサッカーを称え、簡単に勝てる相手ではないと語気を強めたのだ。
しかし、それにどう対抗するかは語らない。「いい守備からいい攻撃へ」。森保一監督はこの夏で代表監督就任7年目に入るが、これまで中身に関して最も具体的に語った台詞がこの程度である。何をしたいのか。"色"を曖昧にさせたまま、膨大な歳月を費やしてきた。それが人気後退の大きな理由だと考える。
サッカーの話、そのものが見出しにならない。むしろ極力、言質を取られないように、ここまでなんとかやりすごしてきた印象だ。これでは監督としてのカリスマ性は生まれるはずがない。そしてピッチ上で展開される実際のサッカーは、ますます守備的になっている。北朝鮮、ミャンマー相手にも引いて大人数で守ろうとする。面白いサッカーをしようとする姿勢が完全に欠落している。
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