岩渕真奈がパリ五輪に挑むなでしこジャパンを考察「キーマンは?」「期待する選手は?」 (2ページ目)
――田中選手はよく気が利いてしまうので、自ら前線から落ちてきてリズムを作ることも厭わないのですが、4月にアメリカで行なわれたSheBelieves Cupでは「自分が点を取る!」と言って、有言実行していました。
岩渕 いいことだと思います。そういう強気な姿勢は昔からあるにはあったんですけど、国内で結果を出しても代表に入れなかったりして、なかなかそれが表に出てこなかった。でも、いろいろと経験して今、自信をつけている。ミナ(田中)にとって、今大会はとてもいい状態の時期にあると思うから、自分は応援したいんですよね。
――他に期待している選手はいますか。
岩渕 熊谷紗希しかいないでしょ! 完全に個人的感情ですけど(笑)。ここ何試合かを見ても、たぶん彼女自身、うまくいっていない感覚があるんだろうな、というのは感じます。だからこそ、頑張ってほしい。
2011年女子W杯優勝時の岩渕さん。金メダルを手にして熊谷紗希選手と。photo by Hayakusa Norikoこの記事に関連する写真を見る 彼女がこれまでに(なでしこジャパンで)やってきたことって、ほかの選手みんながオリンピックで「彼女に勝たせたい」「彼女のために」って思って戦ってもいいくらいのことだと思うんですよ。そのくらい、どんな時も代表のことを考えて、チームの雰囲気作りをしてきた選手です。
みんなにはそんな紗希への想いを原動力にして頑張ってほしいし、紗希には今回のオリンピックですべてを出しきってほしい。
――長く代表を形作ってきた選手が抜けて、世代交代後、熊谷選手に求められるものが一気に増えてしまいました。
岩渕 まあでも、彼女はそこまで重く捉えていないから、大丈夫ですよ。紗希はそういうとこズルいんですよ! すごく考えているように周りから見られているけど、実際は深く考えてないですから(笑)。
――それが、彼女のいいところでもあります(笑)。さて、オリンピック本大会まで、約2カ月。12カ国しか出場できないことで、グループリーグから熾烈な戦いになることは明らかです。チームにとって、選手にとって、ここからの時間、何が大事になってくると思いますか。
岩渕 それはもう、絶対にゲガをしないこと! でも、すでに欠かせない当確の選手もいれば、(メンバー入りできるか)当落選上の選手もいるわけじゃないですか。そういう意味では、この時期って本当に難しいんですよね。
"チーム"を作る時間は、おそらく1カ月あるかどうか。今のチームは、雰囲気がいいので、そのなかでサッカーの中身をどれだけ全力で詰めていけるかが大事になってくるし、その作業は絶対に必要なことだと思います。
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