サンフレッチェ広島レジーナ・中嶋淑乃が今季後半「肌荒れ直さなきゃ!」と思うワケ (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【「肌荒れ直さなきゃ!」】

――皇后杯ベスト4は、カップ戦の優勝が勢いだけじゃないと示しましたよね。そうなると、当然今度はリーグ戦でのタイトルへの期待も高まります。今後の見どころは?

中嶋 今、3バックをやっていて、もう走り合いです(笑)。だからこそ、サイドから上がるタイミングと、その予測が大事です。タイミングを間違えると(後ろの)人数が少ないので、カウンターを食らってしまいます。そこは今まで以上に周りと話していて、カバーリングのところはかなり落とし込まれてきてますね。

――左サイドは、前にいる瀧澤千聖選手とのリズムが合ってますね。

中嶋 ああ......いろいろタレ込んでくれたチー(瀧澤)ですか? あと、ルナ(木稲瑠那)やな?

――すみません、情報源はお答えできません(笑)。

中嶋 あのふたりしかいない! それはそれとして(笑)、前にチーがいてくれるのは本当に助かっていて、相手が多少強くてもチーに潰してもらって自分が前に出ていくこともできるんです。

 彼女は中に入っていくプレーも得意ですし、持ち場が被らないのもいい。ひとりでサイドを使えるので、いっぱい走ってシュートまで行きたいです。チー、使えますね(笑)。

――ちょっと言い方が悪いですけど(笑)。瀧澤選手とのバランスがいいと中嶋選手がシュートを狙うのも効果的ですよね。コースを狙うタイプかと思っていたんですけど、最近シュートにパワーが乗っていませんか?

中嶋 実は2年目くらいから、切り込んだ時とかのシュートのパワー系のトレーニングを取り入れてるんです。まだまだですけどね。それが周囲にちょっと伝わってるなら、変わってきたってことですよね。嬉しい!

――WEリーグ後期再開も楽しみです。新スタジアムでのプレーももうすぐです。

中嶋 新スタジアム(エディオンピースウイング広島)、すっごくいいですよね! でも、客席とピッチがすごく近いので恥ずかしいかも......。空中戦とかの、すごく事故的な顔とか見られそうで怖いです(苦笑)。顔面左側は疲れた顔できないですね。あ、でも戻る時は右側もか。肌荒れ直さなきゃ!

◆ ◆ ◆

 最後まで天然っぷりを炸裂させていた中嶋。新スタジアムとなるエディオンピースウイング広島は、選手たちの意見交換の声まで聞こえてくるかもしれない。

 そのスタジアムで、ぜひ試合直前の中嶋に注目してみてほしい。どこかでおかしな声を出していたり、隣の選手にちょっかいを出していたり、常にチームの笑いの中心にいる姿を発見できるはず。

 ホイッスルが鳴った後は、パワーアップしたシュート音、突破するコースを見据える目線、パワーを落とさず駆け上がるドリブルのスピード感......今、中嶋が注力しているプレーを追い続けるのも一興だ。
(おわり)

中嶋淑乃 
なかしま・よしの/1999年7月27日生まれ。熊本県出身。東海大学付属熊本星翔高校から2018年にオルカ鴨川FCへ入団。2020年にはなでしこリーグ2部の得点王を獲得。2021年にサンフレッチェ広島レジーナへ移籍し、今季3シーズン目をプレーしている。2022年にE-1サッカー選手権を戦うなでしこジャパンに選出され、代表デビュー。2023年のアジア大会では決勝で先制点を挙げるなど、日本の優勝に貢献した。

プロフィール

  • 早草紀子

    早草紀子 (はやくさ・のりこ)

    兵庫・神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中のJリーグ元年からサッカーを撮りはじめ、1994年からフリーランスとしてサッカー専門誌などに寄稿。1996年からは日本女子サッカーリーグのオフィシャルカメラマンも担当。女子サッカー報道の先駆者として、黎明期のシーンを手弁当で支えた。2005年より大宮アルディージャのオフィシャルカメラマン。2021年から、WEリーグのオフィシャルサイトで選手インタビューの連載も担当。

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