サンフレッチェ広島レジーナ・中嶋淑乃が今季後半「肌荒れ直さなきゃ!」と思うワケ (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【今は本当に楽しいです!】

 広島のサッカーが初披露された時は驚愕した。新規立ち上げのチームとは思えぬほど戦術の練度が高く、チーム全体で描くものをしっかり把握していた。それでも、時には新チームらしい脆さも顔を出し、やりたいサッカーとできるサッカーの狭間で苦しむこともあった。

 WEリーグは、なでしこリーグ時代でも力のあったINAC神戸レオネッサ(初代女王)、三菱重工浦和レッズレディース(2年目優勝)、日テレ・東京ヴェルディベレーザが3強と呼ばれ、追随するBランクを他チームが狙うという構図があった。だが今シーズン、カップ戦優勝の広島が早々にその勢力図を塗り替えようとしている。

――カップ戦の優勝後、近賀選手が「(タイトルを)獲るならこのカップ戦、今だと思った」と言っていました。それは中嶋選手も同感だったのでしょうか?

中嶋 最初は「もちろんカップ戦に優勝したい気持ちはあるけど、現実的にどうかな?」って感じでした。でもみんなと話して、「狙おう!」「狙いたい!」って思うようになっていきましたね。

 もともと、最初から自信があるタイプじゃないから(苦笑)。勝ち進んで行くにしたがって心境は変わっていきました。

――その直後にリーグ戦が開幕すると、他チームの広島対策もあり、なかなか勝てなくなりました(ウィンターブレイク前の順位は8位)。苦戦するかと思いきや、1月の皇后杯準決勝では浦和を相手に2点ビハインドから追いつき、延長では中嶋選手のゴールで勝ち越す展開でPKまでもつれ込む激戦(結果PKの末敗戦)に、広島の不屈の精神、粘りを見ました。

中嶋 流れが悪くなっている状況を引き戻せる力があるとしたら......ブレなかったこと、でしょうか。発足の時から、後ろからのビルドアップでつなぐサッカーというのを目指してきて、うまくいかなかったり、勝てなかったりしても、ブレたり、迷うことがなかった......いや、違うな。ちょっとバラバラになりかけると、近さんたちがみんなを集めて、もう一度気持ちを入れ直してくれたんです。

 3年目になって、やっといろんな選手がビルドアップに関われるようになってきたから、今は本当に楽しいです!

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