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「日本代表は時間が経つにつれ集中力を失う」対戦国イランが見た森保ジャパンの弱点 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【「人生を賭けた試合だと思っていた」】

 イランの選手たちはキックオフの前、勝利を信じてはいなかった。みんな、これが最後の試合だと思っていただろう。試合後のイランの喜びようは、それを証明している。「勝ちたい」という気持ちは、イランのほうが確実に日本より強かった。それは試合後のイランの選手たちのコメントからも明らかだ。

 試合終了直前、板倉滉に倒されてPKを獲得したホセイン・カナーニは、興奮をおさえられずにこう語っている。

「信じられない! まるで『千夜一夜物語』みたいだ。審判が試合終了の笛を吹くまで、自分たちでさえ信じられなかったと思う。日本は今大会最強のチームだ。その最強の相手に勝ったんだ!」

 一方、そのPKを決めたアリレザ・ジャハンバフシュは、日本のことをかなり冷静に見ていた。

「我々はこの一戦を、人生を賭けた試合だと思っていた。今大会の日本の試合をすべて見て研究したが、彼らにはほとんど弱点がなかった。ただひとつ気がついたのは、日本は時間が経つにつれ次第に集中力を失っていくことだった。だから我々にできることは、決してあきらめず辛抱強くやることだと思った。

 たとえ彼らが今大会最高の優勝候補だったとしても、私は『やればできる』と信じていた。ピッチのなかでは11対11、すべてが可能であることはこれまでのサッカーが証明している。そして今日のピッチに立ったイランの11人は、より自信にあふれていたし、何よりも落ち着いていた。そしてゴールが生まれた。時間はかかったが、それでもゴールが生まれた。すばらしいチームに勝った。この日本戦の勝利は、私たちがこのアジアカップを制することができるかもしれないという希望を与えてくれた」

 キックオフからしばらくの間、日本はバランスが取れており、パスもすばらしく、試合を支配していた。しかし恐怖を持ち始めると、日本はボールを持ってプレーすることを忘れ、勝利を確実にすることしか考えられなくなった。日本がサッカーをしている時は問題がない。日本の実力は圧倒的に敵より上だ。しかし勝利を意識し、恐怖を持ち始めると、混乱してしまい、チームはまったく別物になってしまう。

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