サッカー日本代表の危なげなく見えたバーレーン戦に問題点 イラン戦に向けて課題は?

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

サッカー日本代表はアジアカップのベスト8へ進出したが、次のイランは日本と互角の実力でこれまでの4試合とはまったく違う試合になる可能性が高い。そこを踏まえて見ると、バーレーン戦でも見過ごせない問題点がいくつかある。

【前半はほぼ敵陣でプレー】

 最終スコア3-1で日本が勝利したアジアカップのラウンド16は、対戦相手となったバーレーンとの力量の差がはっきりと出た試合となった。

サッカー日本代表のバーレーン戦で3点目を決めた上田綺世 photo by Sano Mikiサッカー日本代表のバーレーン戦で3点目を決めた上田綺世 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る 確かに63分に相手コーナーキックから2-1と追い詰められた時間帯は不穏な空気が漂ったが、その9分後にはオウンゴールを記録した上田綺世が汚名返上の股抜きシュートを決めて勝負あり。今大会目立っている"個の力"がこの試合でも威力を発揮し、日本が危なげなく準々決勝に駒を進めた。

 日本にとっては試合展開も理想的だった。黒星を喫したイラク戦と同じ轍を踏まないよう、試合序盤をセーフティに切り抜けると、前半は日本がほぼ敵陣でプレーするという一方的な展開。そのなかで、32分に毎熊晟矢のミドルシュートがポストに当たった跳ね返りを堂安律が詰めて先制することができた。

 先行逃げきりは日本が得意とする試合展開で、そこからは後半の試合運びも含めておおむね筋書きどおりだったと言っていいだろう。

 では、日本の目標であるアジアカップ優勝に向けた課題はないのか。中2日で行なわれる準々決勝のイラン戦を迎える前に、改めてこのバーレーン戦を前半と後半に分けて振り返ってみたい。

 韓国のいるグループEを首位突破したバーレーンは、予想どおり4-1-4-1の布陣を採用した。

 かつてチリ代表やサウジアラビア代表を率いた経験を持つスペイン人のフアン・アントニオ・ピッツィ監督の狙いは、日本が苦戦したイラク戦と同様。長身1トップの9番(アブドゥラー・ユスフ・ヘラル)にロングボールを当ててセカンドボールを回収する戦法で、なるべく中盤を省略することで日本のプレスを回避しようとした。

 ただし、それはイラク戦を経験した日本も想定済み。9番をマークした冨安健洋が抜群のうまさと強さを発揮して個の能力で上回ると、ボランチを中心にセカンドボールの回収もできていた。また、相手センターバック(CB)が自由にロングボールを蹴れないよう、前線では上田と久保建英らがプレッシャーをかけるシーンも目立っていた。

 序盤からボールを蹴っては日本に回収されるという、ある意味で最悪のパターンに陥ったバーレーンは、時間の経過とともに攻め手を失い、前進もままならない状態に陥った。結局、前半立ち上がり5分でバーレーンの40%対日本の60%だったボール支配率は、15分の段階で34.2%対65.8%。前半終了時点では、39.5%対60.5%だった。

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