「三笘薫がMVP」と英国人記者 対戦相手やサポーター、外国人記者が見たバーレーン戦

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 アジアカップ決勝トーナメント1回戦の相手にバーレーンを引き当てた日本は、ラウンド16のなかで最もラッキーなチームのひとつだった。バーレーンはそこまでは強いとは言えず、むしろサプライズでここまで勝ち上がってきたが、先がないことはわかっていた。だから3-1で勝つのは、ごく当たり前のことだ。

 そして日本はこの試合に、アクセルをマックスに踏まなくても勝てることを知っていたのだろう。準々決勝のイラン戦に向けて力を温存することができた。次の試合ではベストの布陣で臨むことができるだろう。スタジアムにいた記者たちはみな、やはり優勝候補の一角に日本を挙げていた。

バーレーン戦の後半23分、アジアカップ初登場となった三笘薫 photo by Sano Mikiバーレーン戦の後半23分、アジアカップ初登場となった三笘薫 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る「日本が勝って当然」と思っていたのは、バーレーンサポーターも同様で、試合後の彼らはむしろ満足げな表情でさえあった。試合を見るために12台のバスに乗ってスタジアム入りしたバーレーンのサポーター、そのうちのふたりに話を聞いた。

 ハサン・ハサンは「東アジアのチームとアラブのチームの間には大きな違いがある。今日、我々はそれを目の当たりにした。バーレーンのサッカーは残念ながら、日本にはまだ遠く及ばないね」と言う。またハサン・モラディは「バーレーンが負けたのは悲しいけど、日本に負けたことに満足している。日本はクリーンで冷静なサッカーをするし、相手をリスペクトしてくれるし、なによりフェアなチームだ」と、日本を称えた。

 この試合を取材していたバーレーンのモハメッド・アスヨ記者は、「アジア大会ではミスは許されない。日本はバーレーンのミスを見すごさなかった。もし今日の相手が日本でなかったら......たとえばシリアやパレスチナだったら、バーレーンにも準々決勝に進む可能性はあったろう。でも日本のような第一級で、偉大なサッカーをし、優秀な監督に率いられたチームに勝てるチャンスは皆無だ。実力が上のチームが勝っただけのことだ」と、あきらめ顔だった。

 一方、敗戦の直後ということもあり、バーレーンの選手の口数は少なかった。そのなかでふたりの選手が、この試合について語ってくれた。

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