「三笘薫の足首が心配でたまらない」 開幕アジアカップに世界がかつてない熱視線 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【スカウトや代理人がカタールに集結】

 視点を南米に向けよう。南米のクラブチームにはアジアの選手はほとんどおらず、プレーに影響することはない。それでも皆がアジアカップに注目している。ブラジルでもアルゼンチンでも、地上波でアジアカップが放送される予定だ。スポンサーもついている。

 今、南米の主な国はサッカーのオフシーズンだ。いつでもサッカーを見ていたい南米人にとって、レベルの上がったアジアカップに興味津々なのだ。いつも見ている自国代表のクラブチームでの仲間も多くいる。ガブリエル・ジェズスのチームメイトの冨安、というように。またパリ・サンジェルマンのイ・ガンインはネイマールの親友としても有名である。ネイマール自身も「子どもたちと一緒に彼を応援するつもりだ」と述べていた。

 ブラジルでは少なくとも10の新聞がアジアカップの記事を掲載。テレビ局ESPNは特集を組み、優勝候補の一角として日本を紹介、森保一監督のプロフィール載せていた。これまでブラジルで遠いアジアカップの特集がされたことは皆無だった。

 これは、いつか見たことがある風景だ。1990年代初め、アフリカサッカーが強くなり、アフリカの選手がヨーロッパに進出するのにつれて、アフリカネーションズカップが注目されるようになった。そしてやはり1月に開催されるこの大会に、ヨーロッパのチームは頭を悩ませていた。ちょうど今回のアジアカップと同じだ。

 今回も、ヨーロッパのクラブをより悩ませているのがこのアフリカネーションズカップであり、アジアカップとほぼ同時期に開催される(1月13日~2月11日)。つまり多くのクラブは、アジアの選手に加えて、アフリカの選手も欠いてしまうのである。

 ヨーロッパのクラブチームを語る時、どのメディアもアジアカップとアフリカネーションズカップを避けて通ることはできなくなった。そしてもしかしたら今回は、アフリカネーションズカップよりもアジアカップが注目される初めての年になるかもしれない。

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