「三笘薫の足首が心配でたまらない」 開幕アジアカップに世界がかつてない熱視線 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【高まるアジアの存在感】

 アーセナルのミケル・アルテタ監督も、まだ完全な体調でない冨安健洋を送り出すのは複雑な心境だったようだ。冨安はいくつものポジションでプレーできる有用な選手。彼が4試合に出られないこともそうだが、ケガでプレーできなくなることを危惧している。アーセナルはスタッフをカタールに派遣し、冨安がきちんと扱われているかをチェックするという。

 そして最近の活躍で一躍リバプールの注目選手となった遠藤航。多くのKOP(コップ/リバプールサポーターの愛称)が、彼がアジアカップを戦うメンバーに選ばれないことを祈ったようだ。

 日本人選手に加えて、韓国のソン・フンミン(トッテナム)などもアジアカップの位置づけに革命を起こしたと言っていい。今、イングランドのメディア、チーム幹部、サポーターは、彼らの一挙手一投足に注目している。

 チームにとってアジアカップは厄介者かもしれないが、ネガティブな面だけではない。人々の興味もかきたてている。イングランドではひとつの地上波とひとつのCSがアジアカップを放送予定だ。ブライトンやアーセナルのサポーターの多くはアジアカップを見守るだろう。三笘が、冨安が、プレーするのか、しないのか。ケガの状況はどうなのか。悪化していないか、それとももう復活したのか。どんなプレーを見せてくれるのか。

 そして彼らの多くは日本を応援することだろう。こんなことは今までの大会ではなかった。それだけアジアの存在感は高まっているのだ。

 スペインのラ・リーガからアジアカップに取られる主力選手は久保建英ひとりだが、レアル・ソシエダにとっては大きな痛手だろう。リーグ戦だけでなくコパ・デル・レイのベスト16の試合も久保無しで戦わなければならない。レアル・ソシエダの本拠地サンセバスチャンの人々は怒っていて、地元の新聞は「ドラマ・アジア」の見出しをつけた。久保はアジアカップが終了した(日本が敗退した)時点で、翌日にでも帰ってくるという約束をチームとしているとされる。

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