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久保建英、三笘薫を招集しても解決しない アジア杯日本代表の「死角」とは? (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 タイ戦では後半から出場した堂安律は、伊東純也がスタメンを張っている間、1トップ下でプレー。存在感を発揮した。だがハマったと言うわけではない。攻撃のバランス維持に貢献したというより、個人能力で解決したという印象だ。相手のレベルが上がればそれでは通用しなくなる。同じく、後半に交代出場した南野拓実も、ボールを前で捌きたいタイプだ。彼らを、4-3-3のインサイドハーフならともかく、4-2-3-1の1トップ下で使うなら、1トップにはやはり大迫勇也がほしい。

 1トップと1トップ下。このふたつのポジションに日本は難を抱えている。両ウイングが人材豊富なだけに余計目立つ。

 前半のタイがそうだったように、日本にある程度ボールを回されても、相手はさほど恐くない。両ウイングがサイドバックとのコンビネーションで最深部をえぐる完璧な突破を披露しない限り、決定機は生まれにくい。押しているにもかかわらず、ゴールが決まらないと試合の流れは悪くなる。相手はこのパターンを狙いたいだろう。

 タイ戦に話を戻せば、タイの石井監督は、0-0で迎えた後半の開始時にメンバーを一挙に4人も代えている。「選手の出場時間を管理したかったからだ」と理由を語った。試合に勝ちたいという気持ちが勝れば、0-0を維持したいという気持ちが勝れば、彼らをもう少し引っ張ったはずだ。それをせず、ペースを乱して大敗した。日本が5-0で大勝した、大きな理由のひとつである。

 目の前の結果を欲するか。長い目で見るか。アジアカップで森保監督は問われることになる。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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