久保建英、三笘薫を招集しても解決しない アジア杯日本代表の「死角」とは? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【日本代表とアジア杯の「特殊な関係」】

 決勝でオーストラリアを下して優勝した2011年あたりまでは、アジアカップは代表強化に適した有意義な大会だった。しかしUAEに延長、PK負けした2015年のベスト8は「運に恵まれなかった」で片付けられると考えられるし、決勝でカタールに敗れた前回も、監督が選手を使い回す術に長けていれば、優勝できていたと言いたくなる。実力的には優勝する力は十分にあったと見るからだ。

 日本にとってアジアカップは卒業していいレベルにある大会だ。にもかかわらず、W杯本大会に臨むような気持ちで、強力なメンバーを編成する。W杯でベスト8以上を狙うチームのすることだろうか。首脳陣自らが日本の力を信用していないのではないかと疑いたくなる。

 山本昌邦日本代表ダイレクターはメンバー発表会見で「各所属クラブは各大陸選手権では選手を代表チームにリリースする義務がある(拘束する権利がある)というFIFAの規定にしたがったまで」と述べて正統性を強調したが、先述のとおり、アジアカップという大陸選手権と日本の関係は少し特殊だ。世界的に見れば例外中の例外なのである。FIFA規定は一般論に過ぎない。アジアというレベルの低い地域から、W杯本大会で2050年までにW杯で優勝を飾ろうとするなら、日本はベストな道を独自に探るしかない。

 その昔、ナビスコカップ(現ルヴァンカップ)にベストメンバーを揃えないチームに対して怒ったのは、当時のJリーグ専務理事で、日本サッカー協会元会長の犬飼基昭さんだが、それはいまではすっかり当たり前の事象になっている。それと同じ理屈だ。

 元日のタイ代表戦で、先発にレギュラークラスが伊東純也ぐらいしかいないにもかかわらず大勝したことでも明らかなように、日本人のレベルは誰が出場しても上々だ。タイの石井正忠監督は、実際にピッチの脇で試合を見て、そのことにあらためて驚いたという。およそ100人を数える欧州組。さらに今すぐ欧州に渡ってもおかしくない国内組もゴロゴロいる。選手のレベルは紙一重の関係で拮抗している。

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