町野修斗「這い上がってやる」精神でJ3→J1→日本代表へ...移籍後の「外すんじゃないか」の空気もゴールで吹き飛ばした (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

この記事に関連する写真を見る 当時からFWとして切磋琢磨していた大橋祐紀選手とは、ふたりでそうした状況を打破しようと話していました。もちろん、実際にシュートを外していたのは事実なので、信頼を得られていないのは周りのせいではなく、自分自身のプレーに原因があったんですけどね。

『町野にパスを出せば決めてくれる』というイメージを、誰よりもチームメイトに抱いてもらわなければボールも出てこないだろうし、自分自身もシュートを打ちにくいという思いがずっとありました。だから昨季は、そうした空気をなくそうと思って臨んだ1年だったんです。

 昨季のキャンプから、ゴールにこだわって練習から取り組んできた結果、徐々に『町野に出せば決めてくれる』『最後に決めてくれるのは町野しかいない』といった空気を、チームメイトからも感じられるようになったので、うれしかったですね」

── 昨季J1で13得点をマークした背景には、そうした努力と、チームメイトから信頼を勝ち得たことが大きかったと?

「本当にそう思っています。性格的にも、周りの空気を読めるほうだと思うので、雰囲気やちょっとした変化もわかるんですよね。だから、チャンスで出してくれたパスひとつでも、チームメイトに信頼されるようになったと感じられました」

── 逆に、チームメイトから信頼を勝ち取った今は、プレーへの責任感も増したのではないでしょうか?

「そのとおりだと思います。イージーなミスや決定機を外す機会は、かぎりなくゼロに近くしなければいけない。ただ、気負いすぎず、リラックスしている時ほど、ゴールを決めることができるタイプなので、肩の力を抜いた状態でプレーできるように心掛けています」

── ずばり、今季の目標を教えてください。

「目標は18ゴール以上。あとは得点王も狙いたいと思っています」

── 昨季は1点差で得点王を逃しているだけに、そこはやはり意識しますか?

「そうですね。そこでも昨季は悔しい思いをしているので、今季は獲りたいなと思っています。チームが優勝してトロフィーを掲げる、個人としては得点王になるなど、歴史に名を刻むような選手になれたらと思います」

<了>


【profile】
町野修斗(まちの・しゅうと)
1999年9月30日生まれ、三重県伊賀市出身。大阪・履正社高3年の時に横浜F・マリノスの練習に参加し、2018年に正式加入する。2019年には出場機会を求めてギラヴァンツ北九州へ期限付き移籍後、翌年に完全移籍。2021年から湘南ベルマーレの一員となる。2022年7月の香港戦で日本代表デビュー初ゴールを記録し、カタールW杯にはケガで出場を辞退した中山雄太に代わって代表メンバーに選ばれた。ポジション=FW。身長185cm、体重80kg。

プロフィール

  • 原田大輔

    原田大輔 (はらだ・だいすけ)

    スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。

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