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トルシエが語る、カタールW杯の5人交代制とVARの導入。「サッカーを変えた。そしてサッカー大国と小国との差を縮めた」 (3ページ目)

  • 田村修一●取材・文 text by Tamura Shuichi
  • photo by Kyodo News

 だが、監督は今、"本物"の監督になった。試合中に大幅な修正、根本的な修正が可能になったからだ。これは、大きな進化であり、これまでW杯で苦戦を強いられてきたアジアやアフリカのチームが、すばらしい結果を得られるようになったひとつの理由だ」

 また、GKの役割の変化もある。

「ゴールキーパーからゴールプレーヤーに」と語ったのは、オランダ代表GKコーチのフランス・フックだが、コンパクトなDFブロックの後方をカバーし、ボール回しにも加わって、攻撃の起点となるパスを味方に送るGKは、11人目のフィールドプレーヤーとしての役割が増大した。さらに、トルシエがつけ加える。

「PKの場面が増えたことにより、GKの重要性も増した。PKの決定は、VARの判定と密接に結びついている。VARの介入により、これまでは見過ごされていた行為がPKと判定されるようになった。

 以前はレフリーの目しかなかったが、今はVARがすべてのシーンを観察している。どんな子細なことも見逃さず、PKか否か、得点か否かの正確な判断を下す。これもまた、小さなチームがより多くの恩恵にあずかった進化だ。

 たとえば、サウジアラビア対アルゼンチン戦がそうで、前半のアルゼンチンは2つの得点がオフサイドで取り消しになった。VARの介入がなければ、得点と認められていた。

 小さなディテールではあるが、サウジの勝利はこのディテールが引き起こした。前半のうちに追加点を挙げていたら、アルゼンチンは容易に勝利を得ていただろう」

VARの導入によって、「大国有利の判定がなくなった」とトルシエは言うVARの導入によって、「大国有利の判定がなくなった」とトルシエは言うこの記事に関連する写真を見る VARは、判定をより客観的なものにした。オフサイドかどうかは、VARが正確に判定してくれる。チームはよりリスクを冒すようになった。

「以前はそうではなかった」とトルシエは述べる。

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