スペイン戦を日本代表選手たちの言葉とともにプレイバック。あの2ゴールが生まれるまで。選手たちのあきらめていなかった心境 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 日本はどうにかスペインの攻撃を食い止めても、奪ったボールを攻撃につなげることができない。苦しい展開を強いられてはいたが、しかし、ドイツに逆転勝利できたという手応えが選手たちに少なからず自信を与えてもいた。

「ドイツ戦で先に1失点してから逆転勝ちした前例があったので、前半のうちは焦れずに追加点をやらないことを意識した。それが後半に生きたと思う」(守田)

 はたして後半開始早々、日本に千載一遇のチャンスが訪れる。

「前半も(プレスを)かけるところでかければ、チャンスはあると感じていた。あそこ(1点目のシーン)は勢いでうまく僕がかけたところにみんなが(続いて)きた」(三笘薫)

 後半48分、途中出場の三笘が相手DFにプレスをかけると、これに前田大然が続く。

 それでもスペインはパスをつなごうと試みるが、ボールコントロールが乱れたところを伊東純也が見逃さずに襲いかける。

 最後はこぼれ球を拾った堂安律が、豪快なミドルシュートをゴールネットに突き刺し、日本はたちまち同点に追いついた。

「律のスーパーゴール。彼のすばらしいクオリティによるところだと思う)(三笘)

「あの1点目を見て、(堂安を)『こいつ、バケモンだな』と思った。あのゴールがなかったら、2点目はなかった」(田中碧)

 そして、電撃の同点ゴールからわずか3分後、ワールドカップ史に残るであろう"伝説のプレー"から日本の決勝ゴールが生まれる。

「1ミリでも(ボールがラインに)かかっていればいいなと思ったし、(得点が)入ったあとは、ちょっと足が長くてよかったなと思った。僕の感覚では、(ボールが)なかにあるなと感じていた」(三笘)

 後半51分、右サイドから堂安が送ったクロスがそのまま流れ、逆サイドのゴールラインを割るかに思われた、その瞬間だった。

 猛然と走り込んだ三笘がこのボールを折り返すと、ゴール前まで走り込んでいた田中が押し込んだ。

「(前田)大然くんと薫さんが(逆サイドに)いたので、何とか(ボールが)残るんじゃないかなと思って信じていた。(ボールが)入ってくるのを信じて、やり続けたのがよかった」(田中)

「なんで(ボランチの田中が)ああいうところにいたのかわからないけど、彼の走力と見えないところで頑張っていたことが点につながった。彼へのご褒美だと思う」(三笘)

 三笘が折り返す時点で、ボールがラインを割っていたか否か。判定はVARに委ねられ、結論が出るまでにはかなりの時間を要した。

「正直、出ているかなと思った」(田中)

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