遠藤航「ようやく世界と対等に戦える土台に乗った」。その先のベスト8進出へ、4試合で痛感した今の日本代表に足りないもの (2ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

【遠藤が4試合で実感したこと】

 出場のなかったロシアW杯終了直後、遠藤はベルギーのシント・トロイデンに移籍した。W杯で1秒も出場機会がなかった悔しさと、ベスト8進出のために何が必要か考えた結果だったと、当時のブログで明かしている。

 翌2019年からは当時ドイツ2部だったシュツットガルトにレンタル移籍し、1部昇格に貢献して完全移籍を勝ち取った。東京オリンピック後の2021-22シーズンにはチームの主将にも指名されて、シーズンを通して活躍。リーグ最終節には後半ロスタイムに得点し、チームを降格の危機から救った。

 考えうるかぎり、最大、目一杯に経験を積んで臨んだカタールだった。だが、ベスト8進出は叶わなかった。

 そんな自身の経験を踏まえて言う。

「こうやってクロアチア相手に対等にはやれたと思っているし、日本代表の選手たちもクオリティは高くはなっているし、それぞれいい経験を所属クラブでしているのかなとは思います。でも、これでようやく世界と対等に戦える土台に乗った、というところかなっていうのが個人的な見解です。

 ここからヨーロッパでやる選手が、もっともっと増えなきゃいけない。20人、30人、2チーム分ぐらい作れるぐらいになれば、チームとしてまたさらに上にいけるのかな、っていうふうには思っています。そういう意味で、成長はしているけれど、まだまだベスト8に行くには足りなかったっていうところかと」

 個々にいい経験はしているけれど、まだまだ勝負できるレベルにようやくたどり着いただけ。遠藤ひとりだけでなく、より多くの選手が欧州でプレーし、単にプレーするだけでなく、所属クラブで代表に還元できるような経験をすること──。それらが上を目指すにはまだ足りない、と実感したのが、この4試合だった。

 その一方で、クロアチアとも対等に戦え、ドイツやスペインを破ることはできた。だからこそ、欲は出るし、悔しさは募る。

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