宮本恒靖が明かす「フラット3」の裏話。トルシエ監督には伝えず「微調整」していた
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宮本恒靖インタビュー(2)
この記事に関連する写真を見る 2002年ワールドカップ日韓大会を振り返った時、印象的に思い出されるキーワードのひとつが「フラット3」である。
3人のDFが文字どおりフラットに並び、最終ラインを自在に上げ下げすることで相手の攻撃を制限する。そんな守備戦術は、フィリップ・トルシエ監督率いる日本代表の代名詞と言ってもよかった。
「(フラット3は)本当に面白かったです」
そう語る宮本恒靖とフラット3との"出会い"は、トルシエ監督初陣のことだった。
1998年10月に大阪・長居スタジアムで行なわれたエジプトとの親善試合。宮本はこの試合をスタンドから観戦し、胸の高鳴りを抑えられずにいた。
「新鮮というか、斬新というか。自分はラインコントロール自体が好きでしたし、あの戦術を目の前で見て、(エジプト戦で)井原(正巳)さんがやっていたポジション(3バックの中央)をやってみたいな、と。当時は3枚(3バック)というと、少し(中央のDFが)余るというイメージがありましたけど、そうじゃなくてフラットに並んでオフサイドをとって、頭を使いつつやるっていうことで、もうとにかく積極的に手を挙げてでもやりたいという思いでした」
従来の3バックと言えば、2枚のストッパーが相手FWをマンツーマンでマークし、リベロが余る。そんな常識があったなかで、ゾーンで守る3バックは斬新なものだった。
「ゾーンからマンツーマンに変わる瞬間もあるので、その使い分けっていうのもすごく面白いところでした。ディフェンスってどうしても受け身なんですけど、そうではなくて、自分たちが主導権を持って、相手をオフサイドにしたり、ボールを奪いに行ったり、コンビネーションも含めて機転を利かさなければいけないっていうところで、すごく攻撃的な守備ができるのは面白かったですね」
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