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サッカー日本代表の攻撃データに劇的変化。パラグアイ戦でくさびの縦パスや連動性のパスはゼロ。有効だったのは? (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

サイドチェンジでチャンスを作る

 立ち上がり5分、敵陣右サイドの堂安から三笘へのロングパスを起点に、大外からオーバーラップした伊藤がマイナスのクロスを入れ、ボックス内で堂安がシュート。惜しくもシュートはGKにセーブされたが、その後も11分、15分、33分と、前半だけでサイドチェンジから4度のチャンスを作り出している。

 しかも、11分は自陣右ハーフレーンから遠藤が左の三笘へロングパスを入れ、最後は鎌田がポストを直撃するシュートを放ち、15分には左の鎌田から右の堂安へサイドチェンジしたあと、原口がシュート。33分は、11分のシーンと同じように堂安から左の三笘へサイドチェンジしたあと、オーバーラップした伊藤がクロスを入れたところでDFにブロックされたが、いずれもサイドチェンジをきっかけに、相手ゴールに迫ることができていた。

 要するに、パラグアイの10番と21番の戻りがおろそかななか、4バックの相手に対して日本の両ウイングが幅をとったことで、ボールサイドとは逆の相手サイドバック(SB)は中央に絞らざるをえなくなり、その背後にサイドチェンジを打ち込むスペースが生まれたというわけだ。

 森保監督が4-3-3に基本布陣を変更して以来、右に伊東純也、左に南野拓実を配置した過去の試合では、今回のようなサイドチェンジは見られなかった。なぜなら、攻撃時は左ウイングの南野が中央寄りに移動し、左で幅をとる役割を担うのは左SBの長友佑都になるからだ。

 SBが高い位置をとれば、当然、相手のマーカーもついてくる。そこにサイドチェンジを使えるスペースはなくなり、逆に長友から右で幅をとる伊東にサイドチェンジするスペースも時間的余裕もない(相手4バックが左にスライドしているため)。

 この試合の前半を振り返る時、伊藤のロングフィードから縦に速い中央突破で浅野が決めた36分の先制ゴール、あるいは堂安の高精度クロスが相手GKの判断ミスを誘い、鎌田がヘッドで決めた42分の追加点と、ゴールシーンだけが注目されている。

 しかし、サイドチェンジが前半のパラグアイを苦しめていた点は、見逃せないポイントだ。

 問題は、これが本番を想定するなかでチームとして意図したプレーなのか、それとも単純に選手のキャラクターによって起きたプレーなのか、という点だ。これについては、レギュラー組の日本が4バック採用のブラジルと戦う6日の試合で確認できるだろう。

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