日本代表が中国戦に勝利も着手すべき問題。苦戦を続ける理由ははっきりしている (3ページ目)
これまで何度も述べてきたが、課題として一番に挙げたいのは森保監督の選手交代だ。前戦のオマーン戦に続き、森保監督はこの日も選手を3人しか代えなかった。余裕を失っている監督像が、そこに鮮明に浮かび上がる。ちりも積もれば山となるではないが、5人枠を3人しか使えない試合をくり返していると、使える選手の絶対数は増えていかない。調子を落とす選手は確実に存在するので、2022年11月を見据えれば、先細りになることは目に見えている。
いったいオナイウ阿道は何のために追加で招集したのか。CFの大迫は終盤、明らかに疲れていた。常識的に考えて、1トップ役のCFが2試合連続フル出場するチームは、世界広しと言えど珍しい。
オマーン戦と2試合連続でフル出場しているフィールドプレーヤーは、大迫に加え、吉田麻也、遠藤航、柴崎岳と4選手もいた。最終ラインの吉田は代えにくいとしても、守備的MFの遠藤、柴崎のどちらかは代えるべきだろう。オナイウ阿道同様、この1試合のためだけに招集された守田英正も、使われなければならない選手だった。
なぜ交代枠が3人から5人に増えた状態にあるかといえば、コロナ禍であるからだ。移動に制限が加えられるなど、その影響を受けやすい選手に配慮した特例でもある。5人枠を使い切ることは、監督の選手に対するマナーと言っていい。代表チームの場合は、移動距離がとりわけ長い。欧州から見れば日本は極東だ。移動距離が長い国になる。招集をかけておいて3人しか使わないというのは、マナーにもおとる行為といっても過言ではない。
中継で解説をしていた岡田武史元日本代表監督は、終盤、実況アナウンサーからメンバー交代の必要性に問われて「特に必要なければ、代える必要はないです」と曖昧に答えていた。しかし、それではチームは盛り上がらない。交代選手があらかじめ、どんな状況の時、出場するのかを知っているかいないかで、試合に臨むモチベーションは大きく変わる。交代枠を使い切る監督が率いるチームと、そうでないチームとでは、選手の高揚感に大きな差が生じる。
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