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日本代表が中国戦に勝利も着手すべき問題。苦戦を続ける理由ははっきりしている

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JFA

カタールW杯アジア最終予選特集

 カタールのドーハを舞台に行なわれた中国ホーム扱いの無観客試合。日本にとってオマーンに0-1で敗れた初戦を受けてのW杯アジア最終予選の第2戦である。

 ランキングでいえば、オマーンは最終予選B組の第5ポッドで、中国は第4ポッドだ。第1ポッドの日本がこのグループの下位候補である2チームに連敗すれば、一気に森保一監督の解任劇に発展する可能性があった。

 結果は1-0だった。厳しさを増していた森保監督への風当たりは、ひとまず収束に向かうだろう。これがいいことなのか、どうなのか。

 勝つには勝ったが、少なくとも悪い膿を出し切ることはできなかった。より負荷のかかる次戦(B組の第3ポッドでここまで2戦2勝のサウジアラビアとのアウェー戦)を万全の態勢で迎える状況にはなっていない、とは筆者の感想だ。

 中国戦の1-0は、けっして喜べない勝利だった。勝利が日本の内的要因に基づいていなかったことが、その一番の理由である。日本にとって幸いだったのは、中国代表のリー・ティエ監督が用いた布陣だった。5-3-2。前戦のオーストラリア戦で採用した4-2-3-1と違う、後方に5人がほぼフラットで並ぶ5バックである。超守備的な布陣で向かってきたことが、日本をラクにした原因だった。

 マイボールの時間は70%を越えた。パスを奪われても、特に心配する必要はなかった。悪い終わり方をした前戦オマーン戦のイメージを引きずることなく、フラットな精神状態でプレーできたことがなにより大きかった。

中国戦の前半40分、先制ゴールを決めた大迫勇也中国戦の前半40分、先制ゴールを決めた大迫勇也この記事に関連する写真を見る 5バックで引いて守る相手をどう崩すか。時間の経過とともに、見どころはこの一点に絞られていった。課せられたテーマは前戦のオマーン戦と同じになった。サイド攻撃がその答えになるが、オマーン戦はそれがまったくできなかった。チームとして追求している気配さえ感じられなかった。

 中国戦はどうなのか。目を凝らしたが、進歩した形跡は見られなかった。日本が圧倒的に優位に進めながら、前半の終盤までノーゴールに終わった原因だ。相手の5バックに正面から突っ込んでいき、跳ね返されるという非効率的な攻撃をくり返した。

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