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日本代表、最悪のスタート。森保采配は敗戦以上に大きな問題をもたらした (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 試合の話に戻せば、キックオフ後に筆者が想起したのは、東京五輪の決勝トーナメント1回戦(ニュージーランド戦)だった。

 キックオフ直後、選手がひと通りプレーに関与した1、2分間を見て閃いたスコアは0-0だった。選手の間に一緒に戦う喜びが感じられない。お互いの関係に新鮮さが不足しているという印象が、ニュージーランド戦と酷似していた。それはスタメンがお馴染みの選手で固められていたことと密接な関係にある。

 相手を舐めるわけではないが、オマーンは日本が所属するB組で、5番手と目されているチームだ。しかもホーム戦。今回の最終予選の中でもラクな部類に入る試合である。勝って当然の相手。「やっぱりアジアの最終予選。ベテランの力が必要だと考えたのでしょう」とは、スタメンを見たテレビ解説者のコメントだが、ここに間違いの元がある。

 石橋を叩いて渡る心配性、新しいものを取り入れることに臆病な保守的思考が、チームにマンネリ感、停滞感を生み出している。交代枠を使い切ることができない采配も、根は一緒だ。

「代表選考は14人まではすんなり決まる。問題は15番目以降。実力ではなく、使わなくてもベンチに座らせておいて大丈夫そうな選手を選ぶことにしている」とは、交代枠が2枠から3枠に変わる時期に、日本代表監督の座に就いていた加茂周氏の言葉だ。森保采配を見ていると、この25年前の采配が蘇る。旧態依然とした監督の思考と合致する森保采配では、日本代表は一段上のレベルに行くことはできない。

 マンネリ感をなにより抱かせたのは、長友佑都、酒井宏樹の両サイドバック(SB)だ。間もなく35歳になる所属先が決まっていないベテラン(長友)と、東京五輪から出ずっぱりの31歳のベテラン(酒井)が、両SBとしてスタメンを張る姿に心意気の低さを感じた。W杯本大会もこのベテラン2人で戦うつもりなのか。ならば、ベスト8は無理だと言いたくなる。少なくともチームに弾みはつかない。

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