森保Jはなぜ「アジアの横綱」らしい戦いができないのか。東京五輪の苦い記憶が蘇る
試合後の雰囲気を重苦しくしたのは、ずっと降り続けていた雨のせいばかりではないだろう。
日本はワールドカップ最終予選初戦で、オマーンに0-1と敗れた。大事な初戦を、しかもホームで敗れたのだから、単なる1敗という以上に重く、痛い敗戦に違いない。
オマーン相手に劣勢を強いられた日本。後半は終始後手に回っていたこの記事に関連する写真を見る 結果が出た今となっては説得力に欠けるが、前半の内容はそれほど悪いものではなかった。
「ボールをうまく回せなかった。テンポも距離感もよくなかった。ボールを大事にしすぎた」
キャプテンのDF吉田麻也がそう振り返ったように、日本の選手たちは確かに慎重になりすぎた面があったとはいえ、さまざまな条件を考えれば、それは当然の判断でもあったはずだ。
まずは試合開始前から強い雨が降り続き、ピッチ上に水が浮いていたこと。
「ウォーミングアップの時に、(ピッチの)水はけが悪く、ボールが止まっていた」と吉田。ボールを保持する時間を長くしたい日本としては、万が一にもおかしなボールの失い方をしないよう、細心の注意を払う必要があった。
加えて、オマーンはロングパスを多用し、早いタイミングで2トップへボールを入れることで、ある種の事故も含めた一発を狙ってきた。
日本にしてみれば、厳しくボールを奪いにいかなければいけない一方で、余計なファールを避ける必要があった。力関係を考えると、勝たなければいけない日本のほうが心理的なプレッシャーは大きく、もどかしい試合になったのも無理はない。
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