2021.09.04

日本代表は「引いた相手を崩せなかった」のではない。どのようにオマーンの術中にはめられたのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 試合後、オマーンの選手たちは雄叫びをあげていた。カタールW杯アジア最終予選、敵地で日本を終盤の一発により0―1と撃破。喜びを爆発させ、抱擁を交わし、健闘を称え合った。

「歴史的な勝利に興奮しています。セルビアでの合宿からいい準備をしてきて、サプライズを起こすのが目標でした。『我々には失うものは何もない、得るものしかない』と伝えてきた」

 オマーンを率いるクロアチア人監督ブランコ・イバンコビッチは、感情を抑え切れずに言った。

「選手には『ハイプレスを仕掛けよう』と戦術的な用意をしてきました。日本にとって、直近の(アジア)予選とは違う戦い方になるように。それで、びっくりさせられたと思っています。我々はそもそもパスを回すスタイルのチームですが、雨もあってリスクを冒さず、セカンドボールを拾う、ロングボールを適時に入れる、など微調整もできました」

 オマーンは日本戦に向け、乾坤一擲で挑んできた。ただし、それは精神的なものだけでなく、論理的思考を突き詰めたサッカーだった。攻守一体で日本を凌駕した。

「引いた相手の守りを崩せなかった」

 日本の監督、選手はそう総括したが、それは現象の説明であって、本質を語っていない。はたして、日本は足元をすくわれただけなのか? 

オマーン戦で最後まで有効な手を打てなかった森保一監督オマーン戦で最後まで有効な手を打てなかった森保一監督 この記事に関連する写真を見る  9月2日、大阪。日本はオマーンのハイプレスを受け、いつものようにボールを回せなかった。プレスを受け、ビルドアップにも四苦八苦。しばしばボールを失い、ショートカウンターを浴びるなど、完全に術中にはまっていた。

 相手がリトリートした状況では、日本はボールを持てた。しかし、有効な崩しはできていない。サイドチェンジから単純に裏を狙うだけで、相手に読まれてスペースを消されていた。パスのリズムが上がらず、ギャップも生み出せない。相手を押し込んで連係からサイドを崩すなど、引いた相手を攻める工夫が乏しかった。

「ひとつは相手のコンディションが良かった。もうひとつはクリエイティビティが欠如し、いつものようなパス回しができず、ボールが走っていなかった。疲労からか、テンポも距離感も良くなくて......」