宮間あやが忘れられない澤穂希の言葉。ドイツW杯直前に「今獲らなきゃいつ獲るの?」 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

――アメリカに対してそういう組織的なイメージを持っている人は少ないかもしれないですね。

「フィジカルでアビー・ワンバックが......ってイメージですよね。でも違う違う!あのチームの組織力はすごかったですよ」

宮間さんが大切に保管しているW杯の金メダルと銀メダルの2つとロンドン五輪の銀メダル(中央)宮間さんが大切に保管しているW杯の金メダルと銀メダルの2つとロンドン五輪の銀メダル(中央)――アメリカにあのサッカーをやられちゃうと、日本はどうしたらいいんだって思いました。

「そうなんですよ!でもボールを取られてもそれを追いかけることさえ楽しかったんです。シャノン・ボックスのタックルが(阪口)夢穂の足に入るのとかを見るじゃないですか。『夢穂が食われる。避けて~!』って思うんですけど、夢穂は当然避けない!みたいな(笑)そういうのが本当に楽しかった」

――あの大会ではずっとサブ練習をそばで見たり、声をかけたりしてました。

「あまりにも出てる選手と出てない選手の経験の差があったし、自分もサブが長かったから気持ちもわかる。アテネオリンピックでは最終メンバーから外されてますしね。本当にあの23人全員にドラマがあって、全員の見え方がある。きれいごとじゃないからサブの選手はもどかしさもあったと思うんです。それもすべてひっくるめてこのチームで優勝したいと思ったっていうか、願っていました」

――それが叶いました。

「うれしかったんですけど『やったー!』って感じるのは一瞬でした。その1カ月後にあったロンドンオリンピック予選が怖すぎて......。余韻というか、もはや威嚇で勝ったような予選でしたけど。でも、世界一になったあのワールドカップは10年経って今ようやく『いい大会だったな』と思えています(笑)」

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