U-24日本代表メンバーの選考で見る金メダルへの本気度。キーマンは旗手怜央だ (2ページ目)
そしてそれが単なる夢ではないことが、多機能型選手を多く登用した今回のメンバー発表から見て取れる。決勝戦を戦うなら試合数は6を数える。それを中2日(決勝は中3日)という強行軍で戦おうとした時に不可欠になるのが、多機能型選手の存在だ。
決勝戦(6試合目)から逆算したメンバー構成であることが、多機能型選手の存在を通して鮮明になる。多機能型でないフィールドプレーヤーの方が圧倒的に少ない。
非多機能型はトップしかできない上田綺世。左ウイングしかできない三笘薫。センターバックしかできない(守備的MFもできるかもしれないが)吉田麻也ぐらいだろう。
その他の選手は、4-2-3-1、4-3-3、3-4-2-1という森保監督が使いそうな布陣の、複数のポジションに落とし込むことができる。どれほど多機能的かは、当落を分けたひとつの大きなポイントだ。
共同記者会見で代表質問した記者は「東京五輪が1年前に行なわれていれば、この中には選ばれていなかった選手もいた。昨季のJリーグでブレイクした三笘はその代表的な選手ではないか」と、森保監督に迫った。
三笘はもともと森保監督率いる五輪のチームにいた選手。五輪チームでパッとしなかったのは、起用法に問題あったからだと考えるが、それはともかく、攻撃陣の看板は、その三笘と久保建英だろう。この2人のアタッカーがどれほど活躍するか。日本の浮沈のカギを握る選手であることは間違いない。
だが、1年前なら選ばれていなかった選手の話に、多機能型選手の話題を加えた時、浮上するのは旗手怜央だ。昨季、大卒ルーキーとして三笘とともに川崎入りしたこの選手も、1年前なら外れていただろう。今回の五輪チームに、発足当時から加わっていたが、三笘同様、森保監督から高い評価を得ていたわけではない。
川崎でもスタメンの座に届いていない選手だった。ブレイクしたのは昨年の天皇杯以降。ケガで離脱した登里享平の代役として、鬼木達監督から左サイドバック(SB)に抜擢されたことが契機になっている。
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