2021.06.19

なでしこ、東京五輪メンバー選考の裏にあった3人の物語。変化で目標を叶えた者と忘れてはいけない人物

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 なでしこジャパンにとって2大会ぶりのオリンピックへ挑戦する18名が発表された。このコロナ禍で、国際親善試合では強豪国と対戦することが叶わず、肝心の強度面での対応力は"見込み"の状態での決断となった。 

2019年W杯の悔しさをバネに五輪メンバーに選出された宝田沙織2019年W杯の悔しさをバネに五輪メンバーに選出された宝田沙織 この記事に関連する写真を見る  なでしこジャパンに大きな転機が訪れたのは昨年の秋のこと。コロナ禍で活動が制限される中、ようやく叶った7カ月ぶりの代表活動で潮目が変わった。昨シーズン好調だった浦和レッズレディースとセレッソ大阪堺レディースから多くの若い選手が選出され、貪欲さと吸収力で新しい波を起こした。

 そして今回、北村菜々美(C大阪L→日テレ・東京ヴェルディベレーザ)、塩越柚歩(三菱重工浦和レッズレディース)、宝田沙織(C大阪L→ワシントン・スピリット)の3名がオリンピック出場の権利を掴んだ。

 その中でも注目は宝田だ。2018年にU-20 女子ワールドカップ優勝メンバーだった宝田は2019年のFIFA女子ワールドカップではFWとしてぶっつけ本番でサプライズ招集される。スーパーサブとして起用されたが、その勢いのまま活躍できるほど世界は甘くなかった。

「点を獲ることが途中から出る自分の仕事なのに......」と悔し涙を流した。

 そこから2年、21歳となった宝田はセンターバック(CB)としてなでしこジャパンに戻ってきた。粗削りとはいえ、FWとしての攻撃センスを兼ね備えた宝田は、まさに高倉麻子監督が目指す最終ラインからのビルドアップには最適だ。正確なキックも強みのひとつ。

 今シーズン、宝田はアメリカのチームへ移籍した。世はコロナ禍であるにも関わらず、なでしこ入りを確実なものにするために迷いはなかった。そして、思いがけない行動に出る。攻撃要員としてワシントン・スピリット入りしたものの、彼女は「後ろ(CB)で経験を積ませてほしい」と監督に直談判したのだ。なでしこのポジションを見据えての行動であり、アメリカでも積極性は失わなかった。