スペイン人指導者から東京五輪代表への助言。「常に攻守のバランスを」
「相手のジャマイカはフル代表のようだったが、力の差は明らかだった。正直に言えば、もう少し力が拮抗した相手との勝負が見たいのだが......」
バスク代表監督を15年以上にわたって務めてきたスペイン人指導者ミケル・エチャリは、U-24日本代表が4-0で勝利したジャマイカ戦をそう振り返っている。
エチャリは2012年ロンドン五輪で「ボランチを中心にバランスを作って、効果的なカウンターを打て、技術やスピードを生かしたコンビネーションで対抗できる。スペインにも十分に勝てる」と予見し、日本の躍進を言い当てた。一方で、「攻める気持ちに逸(はや)るところがある。ポジションを守り、お互いのカバーを怠ると、攻守両輪が空回りする」と、メダルに届かない可能性があることも指摘していた。
日本は初戦でスペインに勝利するとグループリーグを突破し、準々決勝でエジプトも下し、4試合無失点と強さを誇った。しかし準決勝のメキシコ戦は守備の乱れが出て、1-3と敗退。3位決定戦でも無理な攻撃が目立ち、韓国に0-2と敗れた。
東京五輪に挑む日本の可能性とは?
ジャマイカ戦では高い技術で先制ゴールを決めた久保建英この記事に関連する写真を見る「(ジャマイカ戦で)日本はフル代表と同じ4-2-3-1を基本的に採用している。ただトップ下の久保建英はトップの前田大然と並ぶことも多く、自由に両サイドに動く。その意味で4-4-2とも言えなくはない。
試合開始から、日本はイニシアチブを握っている。相手に自陣すら踏ませなかった。堅実にボールをつなげながら、相手を押し込んでいる。ボールを失った時の切り替えも速く、何よりポジション的優位を保って、常にカバーリングができ、攻撃自体が守備になっていた。
攻撃回数が増える中、久保と右サイドの堂安律は近づき合ってポジションを交換。そしてサイドバックの旗手怜央、酒井宏樹や三笘薫からのパスを呼び込み、相手を幻惑し始める。2人のコンビネーションは、スピードと技術が融合し、高いレベルにあるだろう。
そして32分だった。酒井のスローインに、久保が抜け出す。エリア内に入って中に切り込んで左足で狙えるシュート態勢を作った。すると3人のディフェンスの股を抜き、さらにGKの股まで抜くという芸当でゴールを決めた。
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