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日本代表、大迫不在時の解決策。浅野拓磨の2つのプレーに注目 (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 この2つのシーンでは、直接浅野が縦パスを受けずとも、別の選手を一度経由してからボールをもらったという点で、共通していた。そして、南野に代わって鎌田が、原口に代わって坂元達裕が起用された後半になると、前半に見せたその2つのプレーが、より精度を高めるかたちで披露されている。

 57分、橋本拳人が入れたくさびの縦パスを浅野がダイレクトで川辺駿に落とし、川辺が3人目の動きで飛び出した鎌田に縦パスを配給。受けた鎌田はシュートせずに浅野に預けたが、残念ながら浅野がトラップミスしてしまい、フィニッシュには至らず。しかし、この試合で初めて縦パスから複数人が連動しながらシュートに至った見事な攻撃シーンだった。

 また、その直後の59分には、橋本の縦パスを浅野がフリックで鎌田に預け、鎌田からリターンパスをもらった浅野がシュート。惜しくもGKにセーブされたが、この連係も浅野のポストプレーが関与したシュートチャンスのひとつだった。

 もちろん、後半から浅野が直接縦パスを受けられるようになった要因のひとつは、タジキスタンのセントラルMFの2人(13番、17番)に疲れが見え始め、スライドが遅れ気味になったことが関係している。

 日本の両サイドバックの攻め上がりを、4-4-2の両サイドMF(11番、7番)がついていく守備方法だったため、日本の縦パスのコースを切るためには、2トップ(21番、10番)の立ち位置と、その後方に位置する13番と17番のスライドが肝だった。

 前半はそれがかなりの精度でできていたのだが、さすがに後半になると2人の守備にズレが生じ始めていた。

 いずれにしても、浅野が1トップで起用された場合は、裏抜けを狙った縦に速い攻撃と、ダイレクトで縦パスを処理するポストプレーから複数人が連動するという、2種類の攻撃パターンを実践していたことがわかる。

 その他、後半は2度ほど縦パスを受けて収めようとしたプレーもあったが、大迫のようにボールをしっかり収め、時間と空間をつくってから展開したのは、橋本の縦パスを受けてから右の坂元に展開した62分のシーンのみ。そのシーンも十分に"タメ"をつくったわけではなく、基本的には大迫のポストプレーとは異なっていた。

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