田中碧の存在がU-24代表を激変させた「ピッチを上から見ている」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 代表撮影:日本雑誌協会

 川崎サポーターにはうれしくない話かもしれないが、もはやJリーグの枠に収まる選手ではなく、今夏にも日本を離れる可能性が高いのではないか。そんなことすら想像させた。

 案の定、というべきか、今季のJ1でも質の高いプレーを安定して発揮。Jリーグでは活躍できても、海外チーム相手の国際試合になるとパフォーマンスを落とす"内弁慶"がときにはいるが、田中の場合、それがいらぬ心配であることをアルゼンチン戦でも証明した。

 ここで出場停止処分が消化されたことも幸いだった。

 仮に新型コロナウイルス感染拡大により準備活動ができないまま、東京五輪本番を迎え、グループリーグ初戦が出場停止にでもなれば、チームにとっては大きな痛手。それどころか、五輪の登録メンバーは18名と限られているため、初戦は確実に出られないとわかっている選手であれば、実力とは別の理由でメンバーから外される可能性もあっただろう。

 東京五輪の優勝候補と目されるアルゼンチンとの2連戦。招集された選手23人のうち21人がピッチに立ち、うち20人が1試合は先発出場した。横内監督は第2戦で先発メンバー9人を入れ替えた理由について、「フレッシュな選手が練習から高いモチベーションで(高い)クオリティを出してくれていた。準備ができていた選手を今回(第2戦で)使った」としか語らなかったが、チームを固めるよりも競争と選考の比重を高めた選手起用だったのだろう。

 そのなかで当然、選手それぞれの評価に上下動はあっただろう。だが、さまざまな側面から見て、最も株を上げた選手のひとりが田中碧であることだけは、疑いようのない事実である。

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