14点奪うより大切なこと。5-0にしないと挑戦できなかった日本代表 (2ページ目)
この試合で、森保一監督は布陣の変更にトライした。4-2-3-1から4-3-3へ。後者の採用は、日本代表監督に就任してから初の試みになる。この大勝利の中で一番心に留めておきたい事例になる。
それが実行されたのは後半の頭からだった。5-0になってからである。
話は前後するが、この日のスタメンは、5日前に行なわれた韓国戦から、両サイドバック(SB)が入れ替わっただけだった。
まず、ここに問題を感じる。森保監督は試合後、今回招集した代表初招集8人を含むフィールドプレーヤーを、この2試合で全員起用した事実について、記者から問われると「Jリーグのためになる。他の選手の奮起に繋がる。底上げになる」と、胸を張った。
だが、韓国戦は親善試合だ。モンゴル戦はれっきとした公式戦ながら、相手は弱者だ。招集した選手をほぼ均等に使うぐらいの余裕が監督には求められる。
だが、スタメンの変更はわずか2人。ともに韓国戦の後半41分から出場した川辺駿(サンフレッチェ広島)、脇坂泰斗(川崎フロンターレ)の出場時間は、2試合を通じてわずか4分。モンゴル戦に途中出場した畠中槙之輔(横浜F・マリノス、19分)、中谷進之介(名古屋グランパス、26分)、稲垣祥(名古屋、27分)らも、けっして多くなかった。真面目を通り越えた慎重すぎる采配。失敗を恐れた無難すぎる采配と言ってもいい。
寄稿したアルゼンチンU-24アルゼンチン代表戦のレポート(『久保建英も田中碧も日本選手は「無難」。アルゼンチン戦大勝も素直に喜べない』)では、選手の弱腰な姿勢について記したが、監督の生真面目な気質が、選手に伝染している格好と言っていい。
モンゴルから14点奪うことより、大切なことはある。韓国戦と同様の、ベストメンバー同然のスタメンで2戦目に臨むなら、布陣変更も、試合の頭からトライすればよかったのだ。試したのは5-0になってから。石橋を叩いて渡るにもほどがある。「そりゃ何かを試さないと時間を持て余してしまうだろ」と突っ込みたくなる。
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