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14点奪うより大切なこと。5-0にしないと挑戦できなかった日本代表 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 プレッシング時代のミランで活躍した、元オランダ代表のフランク・ライカールト(元バルセロナ監督)は、筆者の質問に「4-2-3-1は(<4-4-2>+<4-3-3>)÷2だ」と解説した。また、4-2-3-1の生みの親、フース・ヒディンク元オランダ代表監督によれば「4-3-3の両ウイングをMF的にした布陣」となる。

 森保監督は、4-2-3-1、その1トップ下にFWっぽい選手を起用する4-4-2は使用しても、4-3-3は使ってこなかった。むしろ森保監督は、4-2-3-1と水と油の関係にある3-4-2-1を、もうひとつの選択肢にしてきた。五輪チームはもっぱら3-4-2-1で戦ってきた。

 それがここに来てようやく4-3-3をテストした。Jリーグでは川崎、横浜FMなどが採用する布陣。世界的にも高いシェア率を誇るこの布陣を、遅まきながらテストした。

 だが、この時点で稲垣祥を森保監督は起用していなかった。Jリーグのベスト11に毎週選びたくなる守備的MFだ。そして後半18分、すでにベンチに下がった守田と同タイプのこの好選手を、森保監督はピッチに送り込んだ。交代相手は同ポジションの遠藤航(シュツットガルト)ではなく、鎌田だった。つまり、布陣は再び4-2-3-1に戻ることになった。

 4-3-3をテストした時間は、後半開始から僅かに18分。テストを開始したときのスコアは、しかも5-0だった。これをもってトライした、チャレンジしたと言っているようでは、強化は遅々として進まない。チームは進化していかないのだ。

 14-0。強化ということで考えれば、歴史的大勝劇の陰で露呈した監督の采配が心配になる。モンゴル相手に大胆になれない、よく言えば生真面目さ。悪く言えば臆病さ、心配性。それとチームの進歩は密接に関係している。

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