森保ジャパンは流れをつかむ采配がない。日本ペースの時間帯は何分間? (5ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

◆ちょうど20年前、「史上最強」と称された日本代表を知っているか?>>

 相手がパナマであれば守備陣も我慢はできたかもしれないが、さすがにメキシコ相手では、ピッチ内の選手の判断だけで苦境から抜け出すことは難しい。そういう意味で、その後の2失点は、起こるべくして起こったと言える。

 63分、自陣ボックス内に釘付けにされた日本は、酒井のクリアが24番に渡ってからの流れでまず1失点。その5分後には、南野のボールロストからショートカウンターを受け、22番(イルビング・ロサーノ)に追加点を奪われた。以降も、79分に中山のミスからカウンターを受け、GKと1対1のシーンをつくられるなど、メキシコの攻勢がつづき、日本は流れを変えられないまま試合を終えた。

 後半、日本が敵陣で入れたくさびの縦パスは、わずか1本。最終ラインからのロングフィードも1本で、唯一クロスボールだけが前半と同じ8本を数えたが、その内訳は後半開始5分間の4本以外、10分に1本と、試合終盤15分で記録した3本のみ。後半のシュートは、85分に直接FKから酒井がヘッドで狙った1本だけに終わっている。

 結局、90分を通して見ても、日本が自分たちのリズムでプレーできたのはわずかに前半の15分間のみ。全体の6分の5にあたる時間が相手ペースだったのだから、この試合結果は極めて論理的と言える。厳しい現実を突きつけられた格好だ。

 それだけに、「自分たちが勝って終われるだけのチャンスをつくれた」と言う森保監督の認識には疑問符をつけざるを得ない。少なくとも、相手の指揮官と違ってピッチの外から試合の流れを変えられなかったベンチワークは、この結果と試合内容を招いた要因のひとつだったことは間違いない。

 最後に、この試合の注目ポイントだった左SBの中山のパフォーマンスである。

 前回の試合の反省点を踏まえ、中山の攻撃の意識は高かったように見えたが、実際に効果的なプレーは少なかった。前半は1本もクロスを供給できず、後半も50分の1本だけ。そのクロスも相手DFにクリアされた。また、守備面でもコートジボワール以上のレベルの相手に対し、不安定さを随所で露呈してしまった。

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