ちょうど20年前、「史上最強」と称された日本代表を知っているか?
「史上最強」と称された日本代表
――第1回
2000年アジアカップ。日本は圧倒的な強さを見せて2度目のアジア制覇を遂げた。当時、その代表チームは「史上最強」と称された。20年の時を経て今、その強さの秘密に迫る――。
2000年アジアカップを制した日本代表。photo by AFP/AFLO 次第に大きくなる青い輪が、歓喜に沸いていた。傍らでは「アジア最強」と謳われた中東の雄が、がっくりと肩を落としていた。
グループリーグ初戦から決勝までの6試合で、総得点21、総失点6。1試合平均で1点は失うが、それを優に上回る3点以上を叩き出す。青い輪の中の男たちは、圧倒的なまでの攻撃力でライバルたちを退け、アジアの頂点に立っていた。
2000年10月30日(現地時間)、レバノン・ベイルート。アジアカップを頭上高く掲げていたのは、フィリップ・トルシエ率いる日本代表だった。
今でこそ、日本がアジアカップで優勝することは珍しくない。
特に2000年代に入ってからの強さはすさまじく、全6大会で優勝3回、準優勝1回と驚異的な好成績を残している。アルベルト・ザッケローニが率いた日本代表が、2011年カタール大会で4回目の優勝を果たしことで、日本の通算優勝回数は歴代最多となった。
だが、時計の針をもう少し巻き戻せば、日本がアジアで勝てない時代は長く続いた。
1968年メキシコ五輪での銅メダル獲得をもう一度とばかりに、勢いのいい掛け声は聞こえてくるものの、結果が一向にともなわない。あらゆる世代の大会で、日本はアジアの厚い壁に阻まれ続けていた。
ようやく潮目が変わり始めたのは、1990年代に入ってから。日本は、地元・広島で開催された1992年大会でアジアカップ初優勝。翌年にはJリーグが誕生し、日本サッカーは空前の盛り上がりを見せていた。
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