日本が悩むストライカー育成。ウルグアイから学ぶべきことは何か?
バルセロナからアトレティコ・マドリードに移籍したルイス・スアレスが、早速得点ランク上位を争っている。プレー先がなかなか決まらなかったエディンソン・カバーニも、マンチェスター・ユナイテッドで点を取り始めた。日本では、セレッソ大阪で活躍したW杯得点王、ディエゴ・フォルランの活躍が記憶に新しい。
彼らは皆、南米の小国ウルグアイのストライカーだ。人口約340万人の国からなぜ、世界的なストライカーが排出されるのか。その理由から日本サッカーが得られるヒントはないだろうか。ウルグアイサッカーに造詣が深く、選手や指導者へのインタビューを通して世界レベルで活躍する南米サッカーのストライカー事情を研究している、解説者の松原良香氏に話を聞いた。
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世界トップクラスで長く活躍する、ウルグアイ人ストライカーのカバーニ(写真左)とスアレス(同右)<才能を確実に吸い上げる環境整備>
松原良香氏によれば、まず、ウルグアイサッカーを語るうえで欠かせない人物がいるという。
"マエストロ"の愛称で親しまれ、2006年からウルグアイ代表監督を務めるオスカル・タバレス氏だ。2度目の代表監督に就任してから14年(1度目は88年~90年)。とくに力を入れてきたのが育成で、代表チームの環境整備に尽力した。
「カラスコ国際空港のすぐそばに日本の"Jヴィレッジ"のようなナショナルトレーニングセンターをつくりました。フル代表も国内での試合がある時はそこに集まります。そこで毎週月、火、水曜に、それぞれU-15、17、20の各カテゴリーの代表選手が集まって練習を行なっています。
これができるのは、ウルグアイはリーグの16クラブのうち13クラブが首都のモンテビデオにあるからなんです。本来そこは小国のウィークポイントになりそうなところを、ストロングポイントに変えているんですね」
環境整備のほかにタバレス監督は、協会と共に育成強化プロジェクトを確立した。そのプロジェクトの最初の世代が、スアレスやカバーニたちなのだ。こんな逸話がある。
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