日本が悩むストライカー育成。ウルグアイから学ぶべきことは何か? (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

◆ルイス・スアレスの即興プレーが証明。一流はすぐわかり合える!>>

 環境を整え、才能を確実に吸い上げることで、人口が少なくても多くのタレントを世界に送り出しているウルグアイ。日本がウルグアイのように優れたストライカーを育てるためには、なにをする必要があるのだろうか。

日本サッカーのなかに本当の世界基準をつくるのが大切と、松原氏は言う photo by Sportiva日本サッカーのなかに本当の世界基準をつくるのが大切と、松原氏は言う photo by Sportiva「日本は、実は日本のサッカーをあまり知らないと思います。海外にもっと目を向ければ、日本のサッカーを客観的に見られるし、なにが足りないかを知ることができる。ウルグアイは常にブラジルやアルゼンチンと比較したり、ビッグクラブで活躍する自国の代表選手もチェックして、タバレス監督を中心に協会、リーグ、サッカー界全体で世界におけるウルグアイの立ち位置を理解しています。自分たちに何が必要なのかを意識してきた繰り返しで、今があるわけです。

 そのうえで、日本もウルグアイのように、①ゴールを奪うストライカーの育成とゴールを守るGKの育成強化、②組織論だけでなく個人を伸ばすことに重きを置く、③環境づくり、といった強化プロジェクトが必要だと思います」

 近年では日本人選手も多くがヨーロッパへの移籍を果たしているが、それだけでは足りない。

「やはり選手だけがヨーロッパで勝負しているようではいけない。指導者やマネージメント側の人間も海外に出て、常日頃から本気の勝負をすることが重要です。彼らも欧州の5大リーグの場に出ていけるよう、まずは日本のS級指導者ライセンスをヨーロッパでも使えるようにするなど、環境を整えることが先決だと思います。

 我々が思っている以上に世界のサッカーの流れは速いです。世界との比較で日本に何が足りないのか、本質的なところを理解したうえで、なにを整える必要があるのかを、聞いた情報だけではなく、直接の自分の肌で感じるのが大事だと思います」

 いいストライカーを育てるために特別な魔法はない。必要なのは、本当の世界基準を日本のなかにつくることだ。

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