日本が悩むストライカー育成。ウルグアイから学ぶべきことは何か? (6ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

「彼らはいいストライカーを育てるために、特別なトレーニングをしているわけではない。例えばスアレスやカバーニは左右両足のシュートに加えて、ヘディングのシュートもうまい。それはヘディングシュートの練習もよくしているからです。ただ、彼らはヘディングの練習が重要だとは言いません。なぜかと言えば彼らにとっては当たり前だから。でも日本人に対して話す時、『ウルグアイの選手はよくヘディングの練習をする』となりますよね。この時点でもう考えている基準が違うわけです」

 近道はない。世界との差を常に比較しつつ、日本のサッカーを知り、日本になにが足りないのかを知ることで、いいストライカーを生み出すための土壌を築く一歩が踏み出せる。小国ウルグアイが生き抜くためにそうしてきたように、日本も本当の意味での世界基準を意識する必要がある。

松原良香
まつばら・よしか/1974年8月19日生まれ。静岡県浜松市出身。現役時代は、ウルグアイのペニャロール、Jリーグのジュビロ磐田など、日本、ウルグアイ、クロアチア、スイスなどの12クラブでプレー。96年アトランタ五輪のU-23日本代表でも活躍した。引退後はサッカースクール・クラブの指導、経営の傍ら、サッカー解説者を務める。18年に筑波大学大学院人間総合科学研究所スポーツ健康システム・マネジメント専攻修士学位(体育学)を取得。現在は博士号取得に向け論文を執筆中。著書にストライカーを研究した「ストライカーを科学する」(岩波ジュニア新書)がある。

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