名波浩が振り返る「伝説の一撃」。
日本代表のゴールの五指に入る! (3ページ目)
だからだろうか、名波曰く、「このゴールはいろいろな機会で取り上げてもらうんですが、『あのCKからのゴール』って言う人が、冗談抜きで8割くらいはいるんだよね。もう訂正するのがめんどくさいから、そうですねって、そのまま答えるんだけど(笑)」。
だが、正しくは「FKからのゴール」、である。
ペナルティーアーク付近に送られたボールにワンタッチで合わせるとなると、確かにフリーにはなりやすいが、技術的な難易度は極めて高い。まして、このFKの場合だと、ほぼ真横から来るボールに合わせることになるため、シュートをゴール方向へ飛ばすだけでも、CK以上に難しい状況だった。名波が続ける。
「オレが蹴りやすいように、俊輔は少しアウトに回転をかけたボールを出してくれたし、とりあえず枠に、っていう気持ちはありましたけど、インサイドキックであんな(強い)ボレーをよく叩けたなって思います。もう一回やれって言われても、絶対無理。たぶん100回蹴っても枠にいかない。いってもボテボテが2、3本でしょうね」
準々決勝のイラク戦で、名波浩がスーパーゴールを決めた。REUTERS/AFLO 中村俊輔と名波浩。日本が誇るレフティーコンビの高い技術が融合し、生まれた芸術的な一撃は、単なる同点ゴール以上の価値を持っていた。明神が語る。
「イラク戦に関しては、あのゴールがすべてを変えた。落ち着きも出たし、その後の得点にもつながった。同じゴールひとつでも(影響が)違うんだな、と。あれほどきれいに決まると、自分たちには自信になる一方で、相手へのダメージは大きかったと思います」
名波が「この1点でチームがグッとこう、体重が前にかかりましたよね。同点になってからは、チーム全体がイケイケになった感じでした」と振り返るように、終わってみれば4-1。この試合もまた圧勝だった。名波は言う。
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