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柱谷哲二が語るドーハの悲劇。
イラク戦で投入してほしかった選手の名は (6ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 柱谷に視野が戻ってきたのは、中山雅史がゴールを決めたあとだった。その後もイラクの怒涛の攻撃を受けたが、柱谷は闘志の炎を必死に燃やし、踏ん張っていた。

「北澤(豪)を入れてくれ!!」

 柱谷とラモスが大きな声で叫んだ。

「4-3-3だったんだけど、イラクに攻められていたんで、北澤を入れて中盤を4枚にしてほしかった。北澤が入れば守備が計算できるから。でも、オフトは武田(修宏)を入れた。武田が悪いわけじゃないけど、この時、初めてオフトが自分たちの考えとズレた采配をした」

 なぜ、武田なのか......。

 この時、柱谷はその理由を考えようとも思わなかったが、数年後、監督になり、ひとつの答えが見てきたという。

「オフトは3点目を取りに行ったんじゃないかな。イラクは前掛かりになっていたので、後ろはスカスカだった。そこにスピードのある武田を入れて3点目を入れて試合を終わらせる。自分が監督になった時、そういう考え方もあるなって思った。でも、当時の現場は『えっ3点目? 2-1でいいよ。北澤入れてくれよ』って感じだった」

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