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小川航基は再び這い上がる。
「自分はエリートなんかじゃない」 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 身長186cmの長身で、顔立ちも端正。スター性を存分に備えながら、雑草魂を宿した男――。それがストライカー、小川航基の本質だ。

 U-20日本代表時代は絶対的なエースとして、1歳下の堂安律(PSV)とのホットラインでゴールを量産していた。だが、2017年5月のU-20ワールドカップのウルグアイ戦で、左ひざの前十字じん帯断裂および半月板を損傷してしまう。

 その影響で、2017年12月に立ち上げられた東京五輪代表チームへの参加は大きく出遅れた。初めて招集されたのは、立ち上げから半年後、2018年5月のトゥーロン国際大会。8月のアジア大会のメンバーにも選ばれず、コンスタントに招集されるようになるのは11月以降だった。

 小川が苦しんでいる間、盟友の堂安は大きく羽ばたいた。2018年7月にオランダのフローニンゲンに移籍し、9月にはA代表デビュー。さらに2019年8月にはオランダの名門PSVへの移籍を果たした。

 その堂安が2019年11月のコロンビア戦で東京五輪代表チームに初めて合流し、小川も堂安とのプレーを久しぶりに楽しんだ。だが一方で、複雑な想いも抱えていた。

「律とはプライベートでも仲がいいし、U-20代表時代は律のパスからたくさんの点を獲ってきた。また一緒にサッカーができるのはうれしいし、刺激も受けていますけど、どんどん先に行かれてしまったな、という悔しさもある。律とはこの合宿でサッカーの話もたくさんしているので、僕にとってもこの合宿が何かのきっかけになりそうな気もしています」

 小川が大きな刺激を受けたのは間違いないだろう。その約1カ月後、E-1選手権に出場する日本代表に選出された小川は、香港との第2戦で代表デビューを果たすと、ハットトリックまで決めたのだ。

 だが、チームを引っ張る決意を持って乗り込んだタイの地で、またしても失意を味わった。

 初戦のサウジアラビア戦ではスタメンに起用されたが、ほとんどボールに触らず、72分に無念にも上田綺世(鹿島アントラーズ)と交代してベンチに下がった。

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