強化はこれでいいのか?
森保ジャパンが抱えている根本的な問題 (2ページ目)
なぜ香港戦で存在感を見せていた大島僚太ではなく、田中碧だったのか。韓国がヨーロッパ組を除くベストメンバーを編成していたことを考えれば、代表キャップでも経験値でも上回る大島をスタメン起用するのが常識的だ。しかし、敢えて森保一監督は東京五輪世代の田中碧をスタメンに抜てきした。これは、「A代表の強化よりもU-22代表の強化に重きを置いた」と思われる要素のひとつだ。
大会前は4バックも3バックもどちらも使う可能性を匂わせていたが、森保監督が、韓国戦でも一貫してU-22代表の基本システムである3-4-2-1を採用したのは決定的だった。
とはいえ、指揮官が100%東京五輪を念頭に戦ったかといえば、そうではない。スタメン9人が東京五輪世代だった香港戦と違い、タイトル獲得のためにカギとなる中国戦と韓国戦の2試合では、国内組のA代表候補選手と東京五輪世代をミックスした今回のチームのベストメンバーを編成している。
A代表として参戦する大会だけに、タイトルは欲しい。しかし来年1月のU-23アジア選手権や東京五輪を見据え、その世代の選手のテストや戦術のブラッシュアップもしなければならない。結局、U-22代表の強化に重きを置きながら勝利を追求するというスタンスが、采配の根源にあった。
そんななかで迎えた日韓戦は、前半は前から激しくプレスを仕掛けた韓国ペースで展開した。対する日本も、中国戦同様、開始直後は5バックにならないように両サイドバックが高い位置をとろうとする意識はうかがえた。
前半3分には、GK中村航輔のキックを森島が受け、相手がカットしたこぼれ球を井手口陽介が拾って前進し、相手陣内でボールをキープ。また、8分には、相手のプレッシングを受けるなか、畠中がボールの出口となって敵陣に入り込み、田中碧が上田綺世に縦パスを入れたシーンもあった。
ただ、8分に韓国の8番(チェ・セジョン)が右サイドの7番(キム・インソン)を走らせるミドルパスを送ったシーンあたりから潮目が変わる。そこでコーナーキックを得た韓国は、4番(キム・ミンジェ)のヘディングシュートがバーを直撃。以降は、デュエルで圧倒する韓国が日本を押し込み、日本が5バック状態になるシーンが増加した。
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