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1年半前倒しでプロ入り。
上田綺世がアントラーズ行きを決断した真相 (3ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo, Getty Images

 だから僕は、チャンスを作る力があるかどうかが、点を獲る力に結びつくと思っている。(コパ・アメリカの初戦の)チリ戦ではシュートを山ほど外しましたけど、あれだけのチャンスを作る力は身についているな、と実感できたので。あとは決めるだけ。その最後の部分が、世界で戦うストライカーとして足りないなって感じました。

―― たとえば、チリ戦では柴崎岳選手(デポルティーボ)のクロスをファーサイドでどんぴしゃりのボレーで捉えたのに、外してしまった。これまでのサッカー人生で、ああいうボレーは山ほど決めてきたと思いますが、あのシチュエーションで決められなかったのは、あの舞台、雰囲気、プレッシャーのなかで、シュートの照準が狂うといった感覚があった?

上田 うーん。でも、僕はシュートを打つ前に......これはいいや、長くなっちゃうから(苦笑)。でも、ボールが上がってきたり、シュートチャンスが訪れたタイミングで、いろいろな選択肢が瞬時にバババって。5枚くらいの写真のイメージで。

―― 頭の中に浮かぶんですね。

上田 はい。それを、パパパっと瞬時に切り捨てて1枚を選ぶ、みたいなイメージで。その間、0コンマ何秒なんですけど。たとえば、ヘディング、トラップ、ファー、ニア、足でワンタッチ、という選択肢が浮かんだとして、そのうち正解、つまりゴールが獲れる選択肢がふたつあるとしたら、その5分の2を選べるかどうかが、ストライカーとして大事な部分。

 その時、保守的な選択肢を最初に捨てなきゃいけないんです。トラップとか頭でいけるのに、足でいこうとするような、置きにいく選択肢を先に捨てられる時は、おそらく点が獲れている時。それを残してしまって、逆に博打的な選択肢を最初に捨ててしまう時は、ゴールに対してネガティブになっている時ですね。普段やっていないような選択肢を選ぶ時は、たぶん点が獲れる日なんじゃないかなって思います。

―― 面白いですね。それを選べる時は、気持ちが乗っていたりする?

上田 それもあると思います。あと、やっぱりシュートを外していると、プレッシャーも影響してくる。それでも、しっかり選べるかどうかも、メンタルの強さなんじゃないかなと。ただ、チリ戦のボレーは最善の選択だったと思うので、技術的な問題で外したと思います。

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