1年半前倒しでプロ入り。
上田綺世がアントラーズ行きを決断した真相
東京五輪を目指す若きフットボーラーたち(7)
鹿島アントラーズ・上田綺世@後編
5つの質問をもとに"ストライカー上田綺世"の本質に迫った前編に続き、後編も引き続き、この生粋の点取り屋の思考法について探った。
シュートを打つ瞬間、果たしてその頭の中には、どんなイメージが描かれているのか......。また、なぜプロ入りのタイミングを1年半早めたのか、なぜ鹿島アントラーズだったのか。この夏に下した決断の真相についても訊いた。
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FW上田綺世(うえだ・あやせ)1998年8月28日、茨城県生まれ。法政大出身―― 5つの質問の最後で、「なり代わってみたいFWはいない」ということでした。もちろん、あり得ない話ですけど、憧れていたガブリエル・バティストゥータ(元アルゼンチン代表)やフィリッポ・インザーギ(元イタリア代表)の頭の中をのぞいてみたいとも思わない?
上田綺世(以下:上田) 思わないですね。彼らもそうだと思いますよ。自分のスタイルで、それぞれやっているわけですから。たしかに憧れはあります。でも、ああなりたいとかは思わない。彼らから学びながら、自分のスタイルを作ってきただけなので。
もちろん、クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)みたいにパワフルなスタイルでやれればいいですけど、僕にあれはできない。それでも同じくらい結果を出すにはどうすればいいか考えた結果、自分は今のスタイル、動き出しとヘディングと運で勝負していくスタイルに行き着いた。
―― 佐藤寿人選手(ジェフユナイテッド市原・千葉)もかつて、自分は考えて点を獲るタイプだと言っていました。インザーギのプレーを相当研究して、動き出しやマークの外し方、ゴール前への入り方を学んだと。上田選手も、ゴールはロジックとインテリジェンスで取るものだという考えがある?
上田 ありますね。FWをやっている人ならわかると思うんですけど、賢くないと点は獲れない。黒人選手くらいの身体能力があれば、ゴール前に突っ立っているだけで獲れるかもしれないけど、僕ら日本人選手は常に考えながら、相手と対話しながらプレーしなきゃいけないと思います。
身体能力を生かすも殺すも、頭次第。僕は自分の身体能力を生かすためのスタイルを選んでいるつもりです。逆に言えば、自分が生きないスタイルは一切選ばない。ドリブルしなきゃいけないようなポジショニングはしない。スピード勝負や高さ比べ、その先のワンタッチで決めるところに自信があるので、そのスタイルを磨いているつもりです。
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