キリン杯とコパ・アメリカの森保J。
重複する9人は何を意味するのか (2ページ目)
森保監督は久保を選出する一方で、ベテランの岡崎を復帰させた。驚かされたのは、むしろこちらの件になる。
レスターを退団。どこからも縛りのかかっていない選手なので、招集しやすいことは確かだ。ところが今季、所属のレスターで出場した時間はわずか271分。そのうえ得点0に終わった33歳を、森保監督はキリン杯、コパ・アメリカ両方の代表チームに招集した。道理から外れた人選とはこのことだ。代表から半分引退したも同然の選手をメンバーに加えれば、試合の価値は下がる。真剣味に乏しいエキシビション的な試合になる。
川島についても同じことが言える。こちらも代表チームには2018年ロシアW杯以降、一度も招集されていない36歳だ。所属のストラスブールでも現在まで出番は1試合もなし。招集される条件を満たしていない選手に思える。
長友佑都、槙野智章の32歳コンビも、前回(コロンビア戦、ボリビア戦)外れたので、てっきりアジアカップが代表での最後のプレーかと思われたが、今回、キリン杯にのみ呼ばれている。
そして、香川真司も外れておかしくない選手になる。移籍したベシクタシュでスタメンを飾ったのはわずか4試合。途中交代は10試合あるものの、出場時間は計549分に過ぎない。30歳という年齢と現在の活躍度を考えると、代表入りは本来、微妙な線になる。
"旬"にはほど遠い選手、代表チームを卒業してもいい選手が、卒業できずにいるこの状態は、けっして健康的とは言えない。代表戦を経験させるべき選手は他にもいるはずだ。
招集したかった選手は別にいたが、所属クラブを説得できず、やむなくこうなったというのなら、率直にそう言えばいい。この時代、具体的な話を包み隠さずした方が、共感は得られやすい。川島と岡崎が代表復帰し、コパ・アメリカにも続けて出場する現実を、「ハイ、そうですか」と素直に納得することはできないのだ。
スペインリーグ5位。柴崎岳が所属するヘタフェは、来季のチャンピオンズリーグ出場こそ逃したが、日本人の欧州組がプレーするクラブの中では最も高いレベルにある。とはいえ、柴崎はそこで今季、交代出場を含め7試合(390分)しか出場できなかった。来季ヘタフェに残れるか、微妙なところだ。
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