キリン杯とコパ・アメリカの森保J。重複する9人は何を意味するのか (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 だが、森保監督は、クラブではパッとしないそんな彼を代表監督に就任後、使い続けている。今回もキリン杯とコパ・アメリカの両大会に出場する。それをヘタフェが許諾するということは、クラブの彼への評価は低いと捉えるのが自然だ。森保監督の評価とは異なっている。森保監督の好みが鮮明になる事例と言ってもいい。

 柴崎を中盤のリーダーに指名しているわけだが、そこまで頼りになる選手には見えない。悪い選手ではないが、鹿島アントラーズ時代、レアル・マドリードと争ったクラブW杯決勝で、2ゴールを決めた2016年の頃の方が、断然、けれん味のない好プレーを見せていた。今は"旬"から外れている。森保監督は、チームの軸を早々に決めすぎているような気がしてならない。

 タイプは異なるが、Jリーグで見る側を唸らせるプレーを多く披露するのは大島僚太(川崎フロンターレ)だ。しばらくケガがちで、コンスタントに出場するようになってそれほど時間は経過していないが、中盤の選手としてピカイチの技量を持つこの選手を代表チームに呼ばない手はない。

 だが、森保監督は就任後、大島を一度は招集したものの、ケガで辞退して以来呼んでいない。その一方で、川崎では大島よりプライオリティが低そうな守田英正を繰り返し呼んでいる。森保監督の好む傾向をそこに見る気がする。

 とはいえ、いまは時期的にいろいろな選手を試す仕込みの時期である。選択肢を増やすことが2年後、3年後に反映されることになる。アジアカップのようにスタメンを固めた戦いを続けると幸は訪れにくい。少なくとも、招集した選手は可能な限り多くの時間、試してほしいものである。思わぬ発見は、その路線の延長上に待っていると信じたい。

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