森保監督とペトロビッチ監督の
「3-4-2-1」はどこが違うのか? (3ページ目)
これはどちらが良い悪いというものではなく、それぞれの監督がメリットとデメリットをどう捉えているかの違いだ。森保監督の場合、選手はある程度自由に動ける反面、状況判断が遅れると攻撃のテンポが悪くなる可能性があり、ペトロビッチ監督のスタイルでは、選手の判断は速いが、相手に攻撃パターンを読まれやすい。
つまり、同じフォーメーションでも、表現していることは違う。だからこそ、アジア大会での三好は、ペトロビッチ監督のサッカーと、森保監督のサッカーの違いに少し戸惑ったのだろう。森保監督とペトロビッチ監督の3−4−2−1を比較すると、ペトロビッチ監督のスタイルがより特殊な戦術と言える。三好は今後、両監督のシステムの違いを理解して適応していけば、五輪代表でも自分の特徴をもっと発揮できるはずだ。
森保監督のシステムは、サイドにどういう選手を置くかによって、その試合を監督がどう捉えているかが見えるのもポイントだ。攻撃に特徴のある選手を置くのか、守備が長所の選手を置くのか、あるいは、先発する選手の武器がドリブルなのか、クロスなのか。
森保監督のサッカーを日本代表に浸透させるには、オシム監督時代のように平日に国内組で代表合宿を張ってチームワークを高めていく方法が理想的だが、それを実現することは難しい状況にある。それだけに五輪代表監督も兼務するメリットを最大限に生かしてほしい。
今回、森保監督は日本代表に堂安律(フローニンゲン)、冨安健洋(シントトロイデン)、伊藤達哉(ハンブルガーSV)という東京五輪世代の海外組を招集したが、彼らが日本代表でもプレーすることは、森保監督が日本代表と五輪代表を兼任することのメリットといえる。世代交代が求められる日本代表にとって、堂安たち五輪世代が牽引役になっていくはずで、2年後の東京五輪での成功を見据え、日本代表でもいい経験を積んでいってほしい。
森保監督は、広島時代に佐藤寿人(現・名古屋グランパス)と浅野拓磨(現・ハノーファー)をうまく使いわけながら世代交代をした実績もある。今回、広島時代に指導した青山敏弘らを招集したのは、自らの戦術をよりスピーディに浸透させていくためだろう。ベテランの力もうまく使いながら、若手を引き上げる手法を持っている監督だけに、どういった選手を招集しながら、森保カラーで日本代表と五輪代表を染めていくのか楽しみだ。
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