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森保采配で持ち味発揮。
「高校No.1ストライカー」が輝きを取り戻した

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 日本でもっとも多くのゴールを奪ってきた男――大久保嘉人は、それほどの実績がありながら、少しゴールから遠ざかっただけで、「もう二度とゴールできないんじゃないかっていう不安に襲われる」と明かしたことがある。

 そんなとき、自信を取り戻すきっかけは、やはり「ゴールを奪うことしかない」という。

パキスタン戦で2ゴールを決めた岩崎悠人パキスタン戦で2ゴールを決めた岩崎悠人 だとすれば、かつて「高校ナンバーワンストライカー」と称され、鳴り物入りでプロ入りしながら、ゴールの味を忘れつつあった岩崎悠人(京都サンガ)にとっても、アジア大会のパキスタン戦で奪った2ゴールは、大きな意味を持つかもしれない。

「あの2点で吹っ切れた部分がある」

 パキスタン戦の2日後、岩崎はそう、きっぱりと言った。その言葉は、復活を感じさせると同時に、これまで岩崎がいかに苦悩してきたかをうかがわせた――。

 インドネシアで開催されているアジア大会。U-21日本代表は決勝トーナメント1回戦でマレーシアを1−0で下し、準々決勝進出を決めた。

 劣悪なピッチ状態、過密日程、年上の対戦相手、練習環境の悪さなど、厳しい状況が続き、チームパフォーマンスは決していいわけではないが、そのなかで自身の持ち味を発揮しているのが、2シャドーの一角を務める岩崎だ。

 2戦目のパキスタン戦では1分にディフェンスラインの裏に飛び出し、ロングフィードを胸でトラップして流し込むと、35分にも小刻みなステップワークで密集をかわし、豪快なミドルを突き刺した。

 3戦目のベトナム戦では後半から登場し、トップ下に入ってボールに絡み、ラウンド16のマレーシア戦でも躍動感のある力強いドリブルを何度も披露した。

 マレーシア戦後に、岩崎が振り返る。

「今日はシャドーのポジションはスペースがあって、あそこで前を向いて仕掛けるプレーが出せましたね」

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