初動のミスはケガのもとになる。
杉山氏が代表監督選びに警鐘を鳴らす (2ページ目)
まずは反省と検証だ。監督探しをする前に、踏むべき手続きがある。監督探しは、手順にのっとったうえで開始されるべきなのだ。確証のない名前がネットを賑わせる様子を眺めると、またダメな4年間が、そぞろ勝手に始まりそうで、暗澹(あんたん)たる気持ちになる。そうならないようにチェックするのが、我々の役目であるはずだ。
率直に言って、ロシアW杯のベスト16は結果オーライの産物だ。
ハビエル・アギーレまではよかった。2015年2月、八百長疑惑で解任されたが、サッカーそのものは最も今日的だった。その程度の疑惑で解任するのはどうなのか。スポンサーに配慮した結果だといわれるが、サッカー界の肝である代表監督探しまで、スポンサーに配慮しなくてはならないのは、この世界の歪みを象徴する一件だ。
それはともかく、よい監督を些細な疑惑で切ったのであれば、次の監督探しは、より慎重になるべきだった。アギーレに負けない監督を探すべきだったのだ。結果論ではない。慌てて探しすぎたのだ。なぜ慌てたのか。お尻を気にしすぎたからにほかならない。2015年3月下旬に行なわれるキリンチャレンジ杯に間に合わせたかったからだとすれば、これもスポンサーへの配慮になる。
その結果、日本にやってきたのがヴァイッド・ハリルホジッチだった。しかしそのとき、ハリルホジッチが従来路線とは異なる監督だという説明を、協会側は行なっていない。その「縦に速いサッカー」は、日本に来て、実際に采配を振るい始めて、初めて明らかになったことだった。
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