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初動のミスはケガのもとになる。
杉山氏が代表監督選びに警鐘を鳴らす (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki高橋学●写真 photo by Takahashi Manabu

 田嶋会長は、西野ジャパンに賛辞を贈った際、「ああいうサッカー」と、称した。田嶋会長は『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(光文社新書)なる新書の執筆者でもある。言葉の持つ力、影響力について熟知している人が「ああいうサッカー」と、これ以上の抽象的表現はないほど大雑把に語っては、示しがつかない。これは正確かつ詳細に伝えられなければならない、重要なポイントなのである。

 もちろん、メディアにも同じことが言える。最大限、真っ当にそのベスト16入りを分析する義務がある。サッカーにとって大切なのは、プレビューよりレビュー。だが、ページビューが伸びやすいのはプレビューだ。総じて次を急ごうとする。クリンスマン、西野続投報道が、そのいい例だ。

 忘れもしないのが2006年ドイツW杯だ。グループリーグ落ちした後、日本代表は帰国し、成田空港で記者会見を行なった。そこで川淵三郎会長(当時)が、後任監督についてイビツァ・オシムの名前をポロリと漏らした一件だ。

 メディアは、惨敗したジーコジャパンの反省や検証を忘れ、オシムの名前に飛びついた。なかには、W杯期間中にもかかわらず、オシムの写真を表紙に掲載した雑誌も出たほどだ。結果的に、川淵さんにうまく丸め込まれてしまった。

 2010年南アフリカW杯後も、似たような現象が起きた。岡田武史監督の退任後、新監督探しが難航すると、メディアはこぞって批判した。「このままでは9月に行なわれるパラグアイ戦、グアテマラ戦に間に合わない。新星ジャパンの船出にブレーキを踏むつもりか」と。

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