2006年ドイツW杯、中村俊輔が明かす「俺が輝けなかった」理由 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by AP/AFLO

 中村がとりわけ力不足を痛感したのは、第3戦でブラジルの底力を間近で見て、体感したときだった。もともとサッカー大国のブラジルには畏怖(いふ)の念を抱いていたが、同じピッチで本気になって戦うと、チームとしても、個人としても、絶望的になるような差を感じた。それは、「1-4というスコア以上の差だった」という。

「大会までしっかり準備して、100%でやってきたけど、ブラジルにはまったく歯が立たなかった。個も、チームも敵わない。もう次元が違ったね。サッカーというものが(ブラジルは)DNAに染みついている。本気で(ブラジルに)勝ちたいと思うなら、環境から変えないとダメでしょ。

(ブラジルは)サッカーが一番の国だし、国民のみんながサッカーに興味を持っている。そういう場所にいたら、自然と強くなるよ。それに、サッカーのスタイルにブレがない。世界は3バックが主流になって、サイドバックでも、サイドハーフでもない選手が出てきたけど、ブラジルはずっと4バックが基本。しかも、どんどんいいサイドバックが出てくる。

 そうやってブレずに継続していくことの大切さを、ブラジルは見せてくれた。日本は監督によって、サッカーが変わるからね。それじゃ、この先も勝てない。自分の力不足とともに、そのことをすごく強く感じた」

 日本代表チームは、オーストラリアに敗れて以降、一体感も失われた。主力とサブとの選手間の亀裂は、誰の目に見てもわかるほど深刻になっていた。チームは一番大事な"和"を失って、それが結果にも表れた。

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