長谷部誠のバックアップにオススメ。FC東京・橋本拳人の心が整った (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 橋本は、日本人離れしたダイナミズムを感じさせるセンターMFである。

 身長182cmと体格がよく、基本的な運動能力が高いのが特徴だろう。体幹が強く、跳躍に優れ、体の動きが柔らかい。例えば、ぶつかり合いは激しいだけではなく、相手のバランスを崩し、それを利するようなコンタクトができる。

 もともと手足が長いのもあるが、関節が外れて足がグンッと伸びるような感覚で、相手ボールを巻き取れる。タコが手足を伸ばしながら、吸盤で獲物をつかむ姿を想起させる。

 そうした身体的な優位性によって、橋本はポリバレントな選手としての地位を確立した。ボランチ、インサイドハーフ、サイドハーフ、インナー、センターバック、左右サイドバック、そしてFW......。あらゆるポジションをプロになってからも経験し、使い勝手のよさはセールスポイントだった。

 しかし同時に、器用貧乏にもなりかけていた。「攻撃も、守備もできる」。その賛辞は、ともすれば、「どちらもできない」と言われているようだった。

 それが、今シーズンは劇的に変化している。ポジションは(4-4-2の)ダブルボランチの一角に定着。守備でポジションを留守にせず、相手の嫌う立ち位置を取り、味方のミスを補うプレーを心がけるようになった。

「チームを動かす」という働きをしている。チームとして守備を安定させることで、攻撃も改善したのだ。

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